| タイトル |
草地の更新が昆虫相とくにトビムシ群集の生息数に及ぼす影響 |
| 担当機関 |
草地試験場 |
| 研究期間 |
1990~1994 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1994 |
| 要約 |
草地での昆虫群集のうちトビムシ類は最も生息数が多いが、そのほとんどが優占的な数種で占められている。生息数は更新区では5~6月は少なかったが、7~8月に急激に増加した。更新の結果、春先の群集全体に攪乱がおこっていることが示された。
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| 背景・ねらい |
トビムシ類はトビムシ(粘管)目に属する昆虫で、生息密度が高いことから土のプランクトンと呼ばれることがある。動植物の遺体、藻類、生きた小虫を常食とするが、最近は、リゾクトニアやフザリウムによる作物病害の発生抑止効果を示すことで注目されている。草地においてもトビムシ類の生息密度はきわめて高く、放牧草地と採草地での発生消長は報告されているが、更新による草地の攪乱がトビムシ類の生育に及ぼす影響は明らかでない。年3回刈りのオーチャードグラス主体の採草地において、更新区(秋に更新)と非更新区でのリターを含む地上部の昆虫相、とくにトビムシ類の発生の季節的推移を比較することによって、攪乱の様相を明らかにしようとした。
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| 成果の内容・特徴 |
更新はトビムシ群集の生息数に大きな影響をあたえ、初年目の春期には生息数は低いが、7~8月には急増した。草地に優占的な数種のトビムシのうちツチトビムシ科とマルトビムシ科の1種では、非更新草地(播種後10年)よりも更新草地で生息数が増加することが示された。
- トビムシ目の総個体数は、主要な節足動物であるクモ類や、ダニ類を含めた昆虫群集のうちで、更新・非更新の草地のいずれでも最も高い比率を示し、更新区では87.2%、非更新区で59.3%を占めていた(図1)。
- 昆虫群集全体の生息数については、非更新区では春期に大きなピークをもち、その後はほぼ一定であった。更新区では春期に少なかったが7~8月に急激な増加を示した(図2)。更新はトビムシ群集の生息数に大きな影響をあたえ、初年目の春期には生息数は低いが、7~8月には急増した(図3)。
- トビムシ類群集は更新区、非更新区のいずれも多種により構成されていたが、ツチトビムシ科のIsotomurus属の1種、アヤトビムシ科のHomidia属の1種、マルトビムシ科のDeuterosminthurus属の1種が優占種であった。全トビムシ数に占めるこれら3種の生息数は、更新区では99.1%、非更新区では85.3%であった。
- 更新区でのIsotomurus属1種(図4)と、Deuterosminthurus属1種(図6)はいずれも7~8月に、Homidia属の1種は9~10月に増加し(図5)、トビムシの種により生息数の変化に季節的な違いのあることが示された。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 昆虫相とくにトビムシ類の特徴的な生息数の推移は、草地動態を解明する基礎資料となる。
- 本成果は関東北部(草地試験場)における調査のため、他地域への適用には留意が必要である。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 図表4 |
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| 図表5 |
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| 図表6 |
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| カテゴリ |
播種
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