乳酸菌のプロテイナーゼ遺伝子のクローニングと塩基配列

タイトル 乳酸菌のプロテイナーゼ遺伝子のクローニングと塩基配列
担当機関 畜産試験場
研究期間 1995~1997
研究担当者
発行年度 1995
要約 乳酸球菌(Lactococcus lactis)のプロテイナーゼ遺伝子をプロテイナーゼ非生産株にクローン化し、発現させた。さらに、プロテイナーゼ遺伝子とその近傍の塩基配列( 7731bp )を決定した。
背景・ねらい チーズなどのスターターとして用いられるLactococcus lactisのプロテイナーゼは、遊離アミノ酸の少ない牛乳中での乳酸球菌の生育には不可欠であり、また発酵乳製品の風味などにも大きく貢献している。しかし、プロテイナーゼ生産性は遺伝的に不安定で、プラスミドにコードされると考えられる。本研究は、このプラスミドの機能を確認し、プロテイナーゼ遺伝子の構造を明らかにすることにより乳業用乳酸菌の育種改良に資することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1.  L.lactisからプラスミドを単離し、制限酵素により部分分解したフラグメントをベクターに連結し、L.lactis のプラスミドフリー株(プロテイナーゼ非生産株)に形質転換し、プロテイナーゼ活性を示す株を選択した(図1)。
  2. L.lactis5株からプロテイナーゼ遺伝子がクローン化され、これらはα、β-カゼインを分解する基質特異性などからPⅢタイプセリンプロテイナーゼであることが示され、これらの制限酵素地図は相同性を示した(図2)。
  3. L.lactis 565株からクローン化されたHindⅢ6.5kbフラグメントについて塩基配列を決定したが、プロテイナーゼ遺伝子( prtP )のC末端が欠けていたため、さらにサザンハイブリダイゼーションによりC末端をカバーする PstI-EcoRV1.5kb フラグメントをクローン化し、全長 7731bpなかに1960アミノ酸残基コードする prtPの全塩基配列を決定した。
  4. 塩基配列から推定されるアミノ酸配列を既報のL.lactisプロテイナーゼと比較すると、Metから始まる33アミノ酸配列は同一で、A1a-X-A1a-A1aモチーフがシグナルペプチターゼⅠで開裂するSec 依存性シグナルシークエンスであり、つづく152アミノ酸残基はプロシークエンスで、この部分には2アミノ酸の欠失がみられる。セリンプロテイナーゼの活性中心となる、Asp30,His94,Ser433には変化はなく、基質結合に関与すると考えられている部分はThr138, Asp166,Leu747,Thr748でL.lactis Wg2PⅠタイププロテイナーゼと一致した。C末端側にはL.lactis SK11と同じく180bpの繰り返し配列があり、PⅠタイププロテイナーゼ(L.lactis Wg 2,763)より60アミノ酸残基分長い。結果的に、prtP全体として、既報のWg2,763,SK11とは29,31,66アミノ酸の違いが認められた。
  5. prtPの上流には、ATリッチでプロモーターを含む領域をはさんで逆向きにプロテイナーゼの熟成に関与するマチュラーゼ遺伝子(prtM)が存在するが、既報の配列と同一で、保存性が高かった。
成果の活用面・留意点
    L.lactisプロテイナーゼ遺伝子をクローン化し、塩基配列を決定したことにより、プロテイナーゼの安定化などの育種改良への基礎を開き、菌株間での活性や特異性の違いを比較する素材を提供した。
図表1 225980-1.jpg
図表2 225980-2.jpg
カテゴリ 育種

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