アルファルファの不定胚による増殖と乾燥貯蔵法

タイトル アルファルファの不定胚による増殖と乾燥貯蔵法
担当機関 草地試験場
研究期間 1990~1997
研究担当者 奥村健治
蝦名真澄
高井智之
春日重光
松浦正宏
中嶋紘一
鶴見義朗
発行年度 1996
要約 乾燥耐性の誘導によるアルファルファの不定胚の貯蔵法を開発した。遺伝資源、育種素材から有用形質を有する個体を不定胚で増殖し、増殖した不定胚に乾燥耐性を付与することにより液体窒素による凍結保存、室温下での短期貯蔵を可能にした。
背景・ねらい  アルファルファ等の多くの牧草は他殖性であり、採種により世代を進めることにより、遺伝的な組換を生ずる。遺伝資源、育種素材からの有用個体を遺伝的なシフトを伴わない栄養系(クローン)による増殖、貯蔵を可能にする必要がある。そのため、アルファルファの不定胚による増殖法とその貯蔵法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. アルファルファのA70-34,Ram-4等の栄養系を供試し、不定胚の増殖法を検討した結果、外植片としては若い葉柄あるいは胚軸が適し、不定胚形成培地にはプロリンの添加が不定胚形成に効果があることが認められた。また、不定胚の貯蔵のための耐乾性誘導を検討した結果、ABA(アブシジン酸)培地にプロリンも添加することにより、乾燥耐性が増大し、保存後の生存率、再生率も高められた(表1)。乾燥法としては数種の塩類の飽和溶液により得られる6段階の相対湿度により漸次乾燥する方法が有効であった。
  2. これらの結果からアルファルファ不定胚の増殖方法と乾燥耐性誘導による保存法の手法を開発した(図1)。
  3. 本手法による不定胚の液体窒素の凍結処理後の生存率は60%程度、再生率は30%以上の結果が得られた(表1のプロリン添加培地)。
  4. 乾燥不定胚は室温で4ヶ月貯蔵した場合にも、A70-34の大型不定胚では、再生率が67%の高い生存率が得られた。そのため、室温による不定胚の短期貯蔵にも本手法は有効であると考えられる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝資源、育種素材から選抜した有用形質を有する個体の不定胚による増殖法および凍結による長期保存あるいは室温での短期保存法として活用できる。
  2. 不定胚の保存後の生存率、再生率をさらに高める手法を開発する必要がある。また、品種、系統、個体間で、乾燥耐性、再分化率等が異なるので、それぞれに適した方法を検討するとともに、有用形質をもつ個体に乾燥耐性、高再分化能等の形質を導入する必要がある。
図表1 224785-1.jpg
図表2 224785-2.jpg
図表3 224785-3.jpg
カテゴリ アルファルファ 育種 遺伝資源 乾燥 品種

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