タイトル |
表層剥離損傷に対する生育初期の牧草の抵抗機能と引き抜き強度 |
担当機関 |
作業技術研究室 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
玉城勝彦
渋谷幸憲
小島 誠
瀬川 敬
村上弘治
渡辺治郎
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発行年度 |
1996 |
要約 |
牧草の引き抜き強度は播種後2か月で2kgfを越える。せん断抵抗と想定引き抜き抵抗(せん断面の牧草個体数×平均引き抜き強度)は相関があり、想定引き抜き抵抗が50kgf程度以上になると、安定した草地の高いせん断抵抗(1.2kgf/cm2)に近づく。
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背景・ねらい |
大型作業機のスリップによる表層剥離損傷に対する牧草の抵抗機能は、せん断抵抗を指標として評価することができ、安定した草地のせん断抵抗はどの草種でも1.2kgf/cm2と高い水準でほぼ一定となる。しかし、造成後の草地は牧草根が伸長してせん断抵抗が強化されるまで一定の期間を要し、掃除刈りを始めとする作業機の走行には細心の注意が必要である。そこで牧草播種後の物理的強度の推移を、牧草の引き抜き強度の測定により検討し、せん断抵抗と対比して増資後の草地管理に役立てようとする。
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成果の内容・特徴 |
- き抜き強度の測定は、個体ごとの測定が可能であること、せん断抵抗測定のようにボク雄の株数や個体の大きさを揃えるなどの煩雑さがないことなど、牧草の機械的強度を測定するのに簡便でよい方法であった。牧草の引き抜き強度は、個体の茎数、地上部重、一次根の発生数などの生育指標と密接な関係にあった(表1)、(図1)。播種後3か月における牧草の根の発生数は、ペレニアルライグラスでは1茎あたり3~5本の一次根が、オーチャードグラスなどでは同じく5~7本の一次根が発生していた。
- 牧草の引き抜き強度は、供試したペレニアルライグラス、オーチャードグラス、チモシー、トールフェスクの4草種とも播種後60日を過ぎると2kgfを越えた。ペレニアルライグラスの引き抜き強度は他の3草種に比べ2倍以上高い値で推移した。このような草種間差は、一次根の発生数、地上部の乾物重、茎数などの生育の違いによるものと考えられた(表1)。
- せん断抵抗(50cm2)に存在する牧草の引き抜き強度の合計値(想定引き抜き抵抗、せん断面に入る牧草個体数×平均引き抜き強度)とせん断抵抗とは相関があり、引き抜き強度と個体密度を測定すればおよそのせん断抵抗が推定できた。せん断面の牧草の個体数の多少にかかわらず、想定引き抜き抵抗が50kgf程度以上になったとき、せん断抵抗は1.2kgf/cm2を越え、安定した草地のせん断抵抗に近づいた(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 黒ボク土の草地に適用できる。安定した草地の表層剥離抵抗については、草地飼料作研究成果最新情報第11号(平成7年度)を参照されたい。
- 造成後の草地は土壌が膨軟であり、想定引き抜き抵抗が50kgf程度以上になっても、車輪の沈みが大きい場合には表層剥離が起こる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
播種
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