| タイトル |
傾斜草地造成初期におけるペレニアルライグラスの持つ土壌保全機能の活用 |
| 担当機関 |
草地試験場 |
| 研究期間 |
1997~1997 |
| 研究担当者 |
山本 博
小島 誠
渡辺治郎
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| 発行年度 |
1997 |
| 要約 |
ペレニアルライグラスは短期間に高密度の生育をすることから、草地の造成初期からの土壌保全機能が高い。ペレニアルライグラスの草地では、地上部の草量が200g /m2、表層根量が20g/m2に達すると、降雨による土壌流出が大きく減少し、土壌保全効果が発揮される。
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| 背景・ねらい |
造成初期の草地では、裸地状態となっているため降雨に対する土壌保全機能がほとんど期待できない。そこで、牧草の地上部と地下部の生育状態を追跡するとともに、人工降雨によって流出する土壌量を測定することで牧草の生育に伴う保全機能の形成過程を明らかにし、土壌保全的草地造成法の確立に役立てようとする。
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| 成果の内容・特徴 |
- 牧草の生育試験では、一定間隔の播種密度で生育させた後、地上部の生産量と表層の根量を、降雨の二つの侵食作用(雨滴の衝撃力と水流の掃流力)に対する牧草の耐食性として測定した。その結果、播種後80日目の地上部及び地下部の生育量は、いずれの播種密度の場合でもペレニアルライグラスが最も大きくなった(図1)。ついでオーチャードグラス、チモシー、トールフェスクと生育量が順次減少するがこれらはほぼ同レベルと考えられた。
- 降雨による土壌流出試験では、ペレニアルライグラスとオーチャードグラスの標準的播種量を散播し、45日、60日、80日間生育させた状態の草地に、強度100mm/h限界降雨の負荷をかけ測定した。その結果、ペレニアルライグラス草地はオーチャードグラス草地に比べ大きな耐食性を示した。年間の土壌流亡の許容量として設定した土壌流出量100g/m2*に抑えるには、ペレニアルライグラスは約60日で達する(表1)のに対し、オーチャードグラスは約80日を要した。なお、試験に用いた土壌槽の傾斜は10゜、斜面長は1.2mとした。
- 強度30mm/hの通常の降雨に対するペレニアルライグラスの耐食性は、地上部と表層根の生育に伴い播種後30~60日の間に増加することが認められた(表1)。以上から、ペレニアルライグラスの草地では、地上部の草量が200g/m2、表層根量が20g/m2 に達すると、降雨による土壌流出が大きく減少する(図2)。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 造成初期の草地での土壌流亡を軽減させるための草種選定や、土壌保全対策の必要な期間の見積もりに活用できる。なお、牧草の生育速度はその地点での気候水分条件などに関係する変動がある。
- 傾斜角が十数度以内の草地に適用でき、長大な草地や急傾斜草地では地隙(ガリー)侵食・崩壊に対する保全対策が必要である。*年間の許容土壌流出量のレベルは土壌流出量の最大1.1kg/m2/年(前田、1987)をもとにその1桁小さい量に設定した。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| カテゴリ |
播種
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