ニューラルネットワークを用いた植生変動評価手法

タイトル ニューラルネットワークを用いた植生変動評価手法
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1997~1997
研究担当者 佐々木寛幸
山本由紀代
小路敦
須山哲男
大野宏之
渡邉武
内田諭
発行年度 1997
要約 オーストラリア中央部に位置するKunoth Paddockを対象地域とし、土壌・水系・植生・地貌・傾斜・水飲み場からの距離・丘陵地からの距離の7要因から、衛星データの解析によって得られた植生の多寡と変動の程度を推定する2種類のニューラルネットワークモデルを開発した。さらに、両評価結果を統合した植生変動評価図を作成した。
背景・ねらい 砂漠化の進行地域においては、植生の損失とともに、土壌の崩壊や劣化等の土地荒廃を生じる場合が多く、気候的な要因に加えて、地形や土地利用が密接に関与している。アフリカ、アジア、オーストラリア等、各地で深刻な問題となっている砂漠化を防止するには、その実態を的確に把握し、環境管理研究に貢献するデータの提供が急務となっている。
 本研究では、リモートセンシングデータおよび各種地図情報を解析し、砂漠化地域における植生変動の実態を定量的に評価する手法として、要因と現象の関連を、一種のパターン分析問題として解決するニューラルネットワークを利用した評価モデルの開発を行った。
成果の内容・特徴
  1. オーストラリア中央部に位置するKunoth Paddockを対象地域とし、CSIROが提案した植生指数PD54を用いて、1988年2月・6月、1994年12月、1995年3月のLANDSAT/TMデータから、恒常的な植生指数の多寡と変動の程度を表す主題図を作成した(図1)・(図2))。
  2. 対象地域の土壌・水系・植生・地貌・傾斜・水飲み場からの距離・稜線からの距離の7要因から、前述のPD54の多寡と変動の程度を推定する2種類のニューラルネットワークモデルを開発した。
  3. ニューラルネットワークモデルの構造を決定するため、中間層のユニット数および学習用パラメータの初期値を変えながら行った試行の結果、両モデルとも中間層に8ユニットを有する構造が、教師データに対してもっとも良く適合する。この場合の信頼精度(教師データに対する判別精度)は、両モデルとも74.5%である。
  4. PD54の多寡と変動の程度を推定する2種類のニューラルネットワークモデルに基づいて地図演算を行った後、クロス画像を作成することによって、両評価結果を統合した植生変動評価図を作成した(図3)。
  5. 作成したモデルにおける要因の重要度を調べるため、それぞれの要因を除いた場合の判別精度を求めた結果、両モデルとも「水飲み場からの距離」および「土壌」要因の寄与が高い(表1)。
成果の活用面・留意点
  1.  衛星データおよび各種地理情報から植生の変動を推定・評価する手法として利用できる。
     ニューラルネットワークは、教師データの入力層と出力層の値を合目的的に対応づけるパラメータによって形成されるため、他地域において本手法を適用する場合は、当該地域の教師データによる学習を要する。
図表1 224865-1.JPG
図表2 224865-2.JPG
図表3 224865-3.JPG
図表4 224865-4.JPG
カテゴリ リモートセンシング

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