カラマツ林床のリター層撹乱による牧草定着効果

タイトル カラマツ林床のリター層撹乱による牧草定着効果
担当機関 草地試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 下田勝久
河野道治
斉藤吉満
林治雄
発行年度 1997
要約 カラマツ林床へ牧草を導入する際に林床のリター層を撹乱することによって,牧草の初期定着が向上し,かつ,牧草の速やかな定着・成長は,タラノキ・クマイチゴ等の灌木類の出現を抑制する。
背景・ねらい  カラマツ林床を混牧林として有効利用する際に,林床に厚く堆積しているリター層は,牧草の定着を阻害すると考えられる。そこで,リター層を撹乱することによる牧草の定着および雑灌木・雑草類の出現に与える影響を検討した。
成果の内容・特徴 35年生のカラマツ林を4段階に間伐し,さらに林床のリター層を撹乱処理した撹乱区とそのままにした無撹乱区とに分け,6種類の牧草をそれぞれ単播で導入し,撹乱効果を調べた。造成試験は7月中旬に行った。植生調査は,1区画5mx5mで行い,各4反復行った。またリター層の厚さは8~10cmであった。
  1. カラマツ林床のリター層の撹乱は,カラマツの立木密度に関係なく6草種全ての初期定着に対して有効である(表1)。立木密度別に分けずに平均被度を比較すると,撹乱区は,6草種で33-49%無撹乱区より高い。
  2. リター層の撹乱は牧草の定着を向上させ,速やかな成長は灌木の発芽成長を抑制する(図1)。出現した雑灌木は,タラノキ・クマイチゴであるが(表2),これらは埋土種子から発芽してきたもので,成長が早く,牛の嗜好性も悪いことから急速に拡大する。従って,初期段階でこれらの雑灌木の発芽・定着を抑制する効果は大きい。
  3. しかし,雑草類の侵入に対しては,撹乱区と無撹乱区で差が認められない(図1)。造成時に出現する雑草は,ほとんどが1年生草本で,草地を維持する上では2年目に消滅するのでほとんど影響はない(表2)。ただし,ミゾソバは,撹乱区に多く出現する。
成果の活用面・留意点
  1. 他の針葉樹林床に牧草を導入し,草地化する際に参考となる。
  2. 撹乱できないと灌木が出現してくるので,むら無く撹乱することが重要になる。
    本研究では,バックホ-のバケットの背面で林床のリター層を撹乱したが,他の機械で行う場合,リター層を少量の土壌と攪乱する必要がある。
図表1 224870-1.JPG
図表2 224870-2.JPG
図表3 224870-3.JPG
カテゴリ 病害虫 いちご 雑草 そば たらのき

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