北東北の公共草地で肥育素牛を高増体で放牧育成する技術

タイトル 北東北の公共草地で肥育素牛を高増体で放牧育成する技術
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 三田村 強
篠田 満
長谷川三喜(現畜試)
澁谷幸憲
発行年度 1997
要約 チモシー放牧草地はオーチャードグラス草地よりも肥育素牛の増体速度ならびに牧草の生産量が高い。また高標高草地では肥育素牛の増体速度が高い。したがって、高標高の公共草地をチモシー草地に更新し、肥育素牛を集約放牧すれば、高増体で育成することができる。
背景・ねらい 北上・奥羽山系の高標高地には多くの公共草地があり、日本短角種繁殖牛の放牧が行われてきた。しかし日本短角種の価格暴落で、その飼養頭数が急減し、公共草地の利用率低下や牧場経営の悪化ばかりでなく、これらの中山間地域そのものが衰退する恐れがある。一方、外国の穀物や粗飼料に依存した周年舎飼による肉牛生産は、コスト高、糞尿処理、疾病の多発など多くの問題を抱えている。そこで、完全な物質循環を可能にする放牧を活用して健康で優良な肥育素牛を公共牧場で低コスト育成する技術を確立することにより、これらの地域の肉牛生産の振興に役立てる。
成果の内容・特徴
  1. チモシー(TY:ホクシュウ)草地における肥育素牛(交雑種、黒毛和種×ホルスタイン)の日増体量(DG)は、オーチャードグラス(OG:キタミドリ)草地のそれよりも大きく(表1)、かつ、バラツキが小さく、体重の少ない若齢の育成牛でもDGの大きな低下がない。この原因はTYは出穂茎もよく採食され均一な短草型草となり、また高消化性成分の細胞内容物(OCC)含量が高いためである(図1)。さらにTY草地の春期余剰草はOG草地よりも多いことから草地の生産性も高い。
  2. 生産性の低下した古い高標高の公共草地(5種混播、昭和41年造成)でも、肥育素牛のDGは日本短角種(放牧開始月齢9~10ヶ月)が0.8~0.9kg、交雑種(放牧開始月齢6~9カ月)が0.6~0.8kgで、夏期においても増体速度の停滞がなく、いずれも高い増体が得られる(表2)。
  3. 高標高草地の増体が高い理由として夏期冷涼のため、育成牛の飼養環境が良好であることと、高標高草地の牧草のOCC含量が低標高草地のそれより高いことがあげられる(図2)。
  4. 高標高の公共草地において育成牛用放牧草地に再編する場合は、寒冷地で生育が優れているTY草地を造成して、肥育素牛の輪換放牧を行い、さらに春期余剰草を刈り取り・収穫(草地面積の25%)すれば、高い増体と牧草生産が可能になる。
成果の活用面・留意点
  1. この技術により日本短角種と交雑種(黒毛和種×ホルスタイン)を高い増体速度で育成し、また、利用率の低下した北東北の公共草地を有効活用する。
  2. 入牧前の放牧馴致が必須であり、また、繁殖牛と同一群で放牧せずに肥育素牛専用の牧区を設けて放牧する必要がある。TYの品種はホクシュウを用いる。
図表1 224881-1.JPG
図表2 224881-2.JPG
図表3 224881-3.JPG
図表4 224881-4.JPG
カテゴリ 経営管理 コスト 中山間地域 低コスト 肉牛 繁殖性改善 品種

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