タイトル |
とうもろこし花粉の超低温保存に及ぼす乾燥・再吸湿処理の効果 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
M. Y. Vadim(STA)
奥村健治
蝦名真澄
村木正則
鶴見義朗
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発行年度 |
1998 |
要約 |
とうもろこしの花粉の液体窒素による超低温保存の場合、花粉の含水率を12%前後まで乾燥させ、保存花粉の解凍後、緩やかな再吸湿処理を行うことにより、保存花粉の交配による雑種種子が得られる。
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背景・ねらい |
とうもろこしの花粉の寿命は短く、保存が困難である。超低温保存法が確立されれば、組合せ能力検定の交配作業が効率化されるほか、花粉バンクとして遺伝資源の保存にも利用できる。しかし、とうもろこしの花粉の凍結保存についての報告は極めて少ない。超低温による花粉の長期保存の確立のため、乾燥耐性が弱いとうもろこし花粉の凍結前処理としての乾燥法、凍結保存後の再吸湿処理の効果について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 花粉の凍結前の乾燥処理(25℃-相対湿度50%)で、含水率が30%程度までは人工培地での発芽率の低下はみられないが、20%程度になると急速に低下し、11%の発芽率は0%となった。
しかし、乾燥処理後の緩やかな再吸湿処理(25℃-相対湿度94%での90分間処理)により、含水率が40%程度となり、人工培地での破裂花粉率が低下し、発芽率が回復する(表1)。
- 液体窒素による保存花粉の再吸湿処理後の発芽率は、凍結前の含水率が低くなるに従って高くなり、凍結処理前の含水率11%の花粉で良好な発芽率(66%)が得られる(表1)。
- 圃場条件下で、凍結保存花粉を用いて交配した結果、含水率11~14%で数粒の種子が得られた。また、保存花粉により温室栽培の雌穂に交配した結果、含水率12%の花粉で、新鮮花粉の交配と同様な1穂当たりの交配子実数が得られる(表2)。
- とうもろこしの花粉の液体窒素による超低温保存では、前処理として花粉の含水率を12%前後まで乾燥させ、保存花粉の解凍後には、緩やかな再吸湿処理を行うことにより、保存花粉の交配による雑種種子が得られる。
- とうもろこし花粉の液体窒素による超低温保存法の手順は図1の通りである。
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成果の活用面・留意点 |
- とうもろこし花粉の超低温保存法の基礎資料として利用できる。
- 実用化には、さらに乾燥方法等各手順の最適条件、輸送方法等の検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
遺伝資源
乾燥
とうもろこし
輸送
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