タイトル |
ケンタッキーブルーグラスにおける効率的なエンブリオジェニックカルス作成法 |
担当機関 |
育種工学研究室 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
廣井清貞
蝦名真澄
高溝正
小松敏憲
矢萩久嗣
杉田紳一
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ケンタッキーブルーグラスにおける高い再分化率をもつ効率的なエンブリオジェニックカルス作成には,修正MS培地に2mg/Lの2,4-Dと0.5mg/Lの6BAを加え,20℃暗条件でカルスを誘導し,遅くとも1ヶ月以内に継代する。品種Merionでは約40%の再分化率が得られる。
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背景・ねらい |
ケンタッキーブルーグラスは牧草・芝草として最も重要な寒地型イネ科草種のひとつである。しかしながら,最も組織培養が難しい草種のひとつであるため,遺伝子の直接導入のためには効率的な組織培養系の確立が必要である。
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成果の内容・特徴 |
- 最適のカルス誘導培地は修正MS培地(塩酸チアミン0.5mg/L)に2mg/Lの2,4-D,0.5mg/Lの6BA,ショ糖30g/L,ゲルライト3g/Lを加えpH5.8にしたものである(図1,2)。
- オーキシンの種類は2,4-Dが最適であり,既存の研究で使用例のあるDicambaやPicloramでは再分化率が劣る。
- 完熟種子からカルスの誘導までには約2ヶ月かかる。途中、1カ月目に一度新しい培地に継代することによりエンブリオジェニックカルスの形成が促進される。
- カルス形成を25℃で行うと生長は早いが褐変しやすい。エンブリオジェニックカルスの形成には20℃がよい(表1)。
- 遅くとも1ヶ月以内にカルスを継代しないと,エンブリオジェニックな部分の割合が急速に減少する。2週間おきに継代した培養系は,15か月後の現在でも高い再分化率を維持している。
- 既存の報告の培養条件では,再分化能が高いとされる品種Geronimoを用いてもエンブリオジェニックカルス形成率は10%未満であった。本法での再分化率は,Merionが最も高く約40%,BaronとGeronimoで約30%,その他にもCanon等が10%以上と非常に高率である(表1,図3)。
- 不定胚誘導は,カルス誘導培地の2,4-Dを0.2mg/Lにした培地にカルスを移し,25℃明条件で約1ヶ月間培養する。誘導された不定胚からシュートが形成されたのち、1/2濃度のMS培地(ホルモンフリー)に移し、発根させる。約1ヶ月後に培養土に順化する。
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成果の活用面・留意点 |
- 得られた変異体が培養変異か、あるいはごく低頻度の有性生殖個体によるものかは別途 検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
寒地
さやいんげん
品種
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