タイトル |
ペレニアルライグラス品種「ヤツナミ」の育成牛を用いた短期輪換放牧による評価 |
担当機関 |
山梨県酪農試験場草地飼料作科(牧草育種指定試験地) |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
荻原郁子
山田敏彦
市村堅吉((財)キープ協会)
保倉勝己(山梨酪試)
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ペレニアルライグラス品種「ヤツナミ」の草地で短期輪換放牧を行った結果、夏期の雑草混入割合が少なく、安定したクローバ率の植生を維持することができる。ジャージー種育成牛を放牧した場合には、0.35~0.67の平均日増体量が得られる。
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背景・ねらい |
外国ではペレニアルライグラスは短期輪換放牧に適した草種であり、高い家畜の生産性が認められている。しかし、日本の環境に必ずしも適していないことから、その適用地域は限定されている。わが国の環境に適した安定多収な品種(ヤツボク・ヤツナミ)が山梨県酪農試験場ですでに育成されているが、家畜生産性についての評価はまだ行われていない。そこで、これらの品種を用いて草地を造成し、短期輪換放牧を行い、植生の推移と家畜生産性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 山梨県高根町清里のキープ協会農場(標高1,300m)において、1994年5月に山梨県酪農
試験場育成の「ヤツボク」(中生)、「ヤツナミ」(晩生)及び民間会社育成「フレンド」(晩生)を品種別に1区25aの試験区としてシロクローバと混播して草地を造成した。
- ジャージー種育成雌牛を用いて、各試験区に3頭ないし2頭を5月から10月まで放牧した。放牧方法は電気牧柵を用いて、1~2日の転牧で10~15日間隔の輪換による昼夜放牧を採用し、4か年にわたって調査を実施した。なお、草量不足時には他の草地へ待避させた。
- 「ヤツボク」区と「ヤツナミ」区草地におけるペレニアルライグラスの草種構成重量割合が、「フレンド」区より試験期間全体にわたり高い傾向にある。
- 夏期の「ヤツナミ」区におけるペレニアルライグラスの構成割合が高く、一方、雑草の混入割合は少ないことから、越夏性に優れる「ヤツナミ」の特性が示されている。
- 「ヤツナミ」区のクローバ率は1~2年目はやや少なかったが、3年目以降安定した植生が維持された。
- 放牧成績は2年目には草量不足の影響を受けて、試験区全体で増体量の低下がみられたが、3年目においては草地の生産性が安定し、「ヤツナミ」区の平均日増体量は3年目は0.67kg、4年目は0.62kgと供試品種中で最も良好な増体効果を示した(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「ヤツナミ」の適地は東北から九州の高標高地である。
- 「ヤツナミ」は海外採種が行われ、平成11年春播用として市販される。
- 植生構造を高密度-低草高群落に維持する集約的な放牧管理が必須となる。夏枯れの発
生しやすい地帯での利用にあたっては盛夏時に施肥を抑えたり強度の放牧を避けたりする ことが必要である。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
施肥
乳牛
品種
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