スラリー処理における悪臭低減ための分割通気条件

タイトル スラリー処理における悪臭低減ための分割通気条件
担当機関 草地試験場
研究期間 1997~1999
研究担当者 伊吹俊彦
加茂幹男
山田大吾
山田知哉
梅田直円
発行年度 1998
要約 スラリーの攪拌曝気開始時におけるアンモニアや硫化水素の発生濃度は、1日の総通気時間8時間の場合、乾物1kg当たりの通気量を2.7~3.9L/min、通気分割回数を4回とし、好気的条件を維持することによって低減できる。
背景・ねらい 家畜生産に伴って生産される家畜ふん尿は、ふんと尿を混合して一定期間貯留し、液肥として飼料畑に還元する処理方式が広く普及しているが、圃場散布時や攪拌曝気時に発生する悪臭を低減する液肥発酵調製技術の開発が要望されている。そこで、通気時間、通気回数、及び通気間隔などの通気方法がふん尿の乾物分解率や攪拌曝気時の悪臭発生に及ぼす影響について検討した。
成果の内容・特徴
    液肥化実験装置4機を用い、1試験区当たり新鮮なスラリーを1m3 投入し、処理期間を7日間、1日の総通気時間を8時間として等間隔分割通気を行う場合の分割回数{1回(8時間通気、16時間休止)、2回(4時間通気、8時間休止)、4回(2時間通気、4時間休止)}や通気量(1.5~3.9L/min/DMkg)がスラリーの発酵に及ぼす影響を調査した。対照区は24時間連続攪拌・曝気処理とした。
  1. 通気回数を1、2,4回に分割した場合の乾物分解率の対照区(24時間連続処理)に対する割合は、通気量1.5~3.9L/min/DMkgの範囲において19.4~72.3%の範囲にあり、分割回数の増加とともに減少する傾向を示す(図1)。
  2. 対照区(24時間連続処理)の発酵温度は、処理後すみやかに上昇し、安定するのに対し、試験区(分割通気処理)では分割条件に応じて階段状に上昇するため、処理期間の発酵温度が低い。
  3. 試験終了時におけるpHは、各試験区が8.54~9.08、対照区(24時間連続処理)が8.89~9.27の範囲にあり、試験区においてpHが低い。
  4. 各試験区の攪拌曝気開始時におけるアンモニア濃度は2~80ppmの範囲にあり、処理日数が経過するとともに徐々に増加する傾向を示すが、連続曝気処理(10~200ppm)に比べて低く1/5~1/2程度である。
  5. 各試験区の攪拌曝気開始時における硫化水素濃度は、検出されない~40ppmの範囲にあり、処理日数が経過するにしたがい発生濃度が低下し、通気分割回数が多く(図2)、通気量が多い(図3)条件ほど短期間で検知されなくなる。対照区(24時間連続処理)は、処理翌日から検知されない。
  6. 1日の総通気時間を8時間に短縮しても、等間隔分割通気を行えば消費エネルギーの低減と悪臭低減が可能になる。
成果の活用面・留意点
  1. スラリーの攪拌曝気時における悪臭を低減させる操作条件として活用できる。
  2. 臭気濃度は、ガス検知管で測定しているので、ガスクロによる分析が必要である。
図表1 224932-1.JPG
図表2 224932-2.JPG
図表3 224932-3.JPG
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