タイトル |
肉牛の母子分離用両開きゲート |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1998~2002 |
研究担当者 |
(池田哲也)
須藤賢司
落合一彦
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発行年度 |
1998 |
要約 |
肉牛母子牛の、親のみが通れて子牛が通れない母子分離用ゲートを開発した。また、親牛がこのゲートを通れるように馴致する簡単な方法を示した。このゲートを用いて放牧地で制限哺乳を行うと、3か月離乳まで子牛は良好な発育をする。
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背景・ねらい |
肉用繁殖牛飼養におけるコスト節減と省力化のためには、放牧の活用が効果的である。しかし、黒毛和種では、これまで、母子牛を一緒に放牧すると子牛の発育が十分でなく、また、放牧地での発情発見や捕獲が困難なため、妊娠牛のみが放牧されている。それらの解決法として、母子分離哺育が有効であるが、これまで、省力的な母子分離方法がなかった。そこで、放牧地において省力的かつ確実に母子分離を行うことができる、新しいタイプの母子分離ゲートを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 分離ゲートの構造・機能
2枚のコンパネを重ね合わせて柱にスプリング付きの自由蝶番で固定して、前後に開くようにした扉(図1、写真)で、親牛は、馴致することでこの扉を押して通過できる。朝夕、分離ゲートのロック(例えば電気を通したリボンワイヤー)を開けてやると子牛と別の牧区にいた親牛は扉を押し開けて子牛の牧区に入り、子牛に哺乳をする。20~30分経って親牛が授乳を十分した頃、親牛用の牧区に少量の餌を与えると、親は再びゲートを通って親の牧区に移動する。子牛は通過しない(図2)。材料費はおよそ2万円である。
- 親牛の馴致方法(表)
第1ステップ:餌をおいた牧区の間などに分離ゲートを設置し、両方の扉とも開けておき、牛が自由に通るまで放置しておく。通るようになるまで1~6日かかる。 第2ステップ:片方の扉だけ閉じる。この状態で通るようになるまで1~2日かかる。 第3ステップ:両扉を閉じる。1~4日で両扉を押し開けて通るようになる。
- 子牛の通過
子牛を親牛の馴致時に一緒にしておくと覚えて、扉を押して通過するようになった例が5例のうち1例あった。子牛を馴致しなければほぼ100%通過しない。
- 子牛の発育
1日2回の分離制限哺乳での、3か月離乳時における日増体量は雄子牛で0.97kg(n=4、SD=0.066)と良好であった。下痢の発生も見られなかった。子牛は乾草ならびに放牧草飽食で、配合飼料を離乳時までに最大1.6kgとなるよう徐々に増やして給与した。
- 活用面:放牧地において母子牛の分離制限哺乳を簡単に行うことができ、子牛の発育が良好 になる。親牛が1日2回、母子共同区に戻ってくるため、発情発見と、人工授精のための捕 獲が容易になる。肉牛公共牧場や放牧を利用する肉牛農家で活用できる、
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成果の活用面・留意点 |
- 活用面:放牧地において母子牛の分離制限哺乳を簡単に行うことができ、子牛の発育が良好 になる。親牛が1日2回、母子共同区に戻ってくるため、発情発見と、人工授精のための捕 獲が容易になる。肉牛公共牧場や放牧を利用する肉牛農家で活用できる、
留意点:1扉あたり最大何頭まで適用可能か不明。子牛を親と一緒に馴致しない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
コスト
省力化
肉牛
繁殖性改善
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