えん麦における種子の一次休眠に関する品種間差と検定法

タイトル えん麦における種子の一次休眠に関する品種間差と検定法
担当機関 九州農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 桂真昭
松浦正宏
上山泰史
長谷健
発行年度 1999
要約 えん麦種子の一次休眠の深さには品種間差があり、その覚醒程度は20℃と30℃の発芽試験によって検定できる。種子の保存期間は長い方が、保存温度は高い方が、発芽率の向上に効果的である。
背景・ねらい えん麦の夏播き試験で当年の春に生産した種子や市販種子を用いた場合、いくつかの品種で発芽の遅れが観察された。これまでの研究によって、採種後数ヶ月は30℃での発芽率に顕著な品種間差が観察され、30℃での発芽率が極不良なものは、夏播き試験での発芽も不安定であることが認められた。これらは一次休眠の覚醒程度が不十分であることが一因であると考えられた。また、日本のえん麦品種の一次休眠に関する情報は少ない。そこで、一次休眠に関する品種間差とその検定法を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 一次休眠覚醒が進んだえん麦種子は、20℃および30℃での発芽率が置床後3日目で80%以上に達する。したがって、一次休眠の覚醒程度を検定するための発芽試験は3日間の調査で十分である。(表1)
  2. 種子の保存温度は一次休眠の覚醒に影響し、高温(30℃)で保存する方が発芽率の向上に効果的である。(表2)
  3. 種子の保存期間も一次休眠の覚醒に影響し、長く保存する方が発芽率の向上に効果的である。(図1)
  4. 接種後、30℃で7週間保存すると、20℃での発芽率は全供試品種で80%以上に達するが、30℃での発芽率が約80%に達しているのは、「はえいぶき」のみであり、日向改良黒では30℃での種子の保存期間が25週間必要である。(図1)
  5. 種子の保存期間によっては、20℃での発芽率が80%以上でも30%での発芽率が80%に達しない品種があり、一次休眠の覚醒程度を検討するには30℃での発芽試験が必要である((図1)。
  6. 以上の点から、20℃および30℃での3日間の発芽率を調べることによって、一次休眠の覚醒程度を検定でき、さらに種子の保存期間をそろえることによって、品種間差を検定できる。
成果の活用面・留意点
  1. 夏播き用品種の育種過程における休眠性に関する選抜や、採種後の種子管理に活用できる。
  2. 保存期間別等の発芽試験では、処理終了時点での種子休眠状態を維持するためには、種子を-20℃で保存する必要がある。
図表1 224962-1.jpg
図表2 224962-2.jpg
図表3 224962-3.jpg
カテゴリ 育種 えん麦 品種

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