タイトル |
暖地における飼料イネの2回刈り栽培技術 |
担当機関 |
九州農業試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
岡本正弘
舘野宏司
佐藤健次
小林良次
冨森寿健助(熊本県農研センター)
服部育男
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発行年度 |
2000 |
要約 |
飼料イネの2回刈り栽培で多収を得るには、密植・多肥栽培し、1番草を出穂前後に刈り取る。1・2番草合計の乾物収量は品種選定することにより約1.4~1.8t/10aが得られる。1回刈り栽培と比べて1番草の栄養価は高粗蛋白質・低TDN、2番草は低粗蛋白質・高TDNの特徴がある。
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背景・ねらい |
飼料自給率の向上、水田機能維持等の観点から飼料イネの栽培・利用が急速に拡大している。多回刈り栽培では気象災害等の危険分散、主食用水稲との作業競合の緩和が可能である。また、番草により栄養価が異なるので、番草の組合せによる牛への合理的給与が可能となる利点もある。そこで、暖地における飼料イネの2回刈り栽培技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- イタリアンライグラス等の冬作が終わり活着適水温(16℃)に達したら、なるべく早く移植し(例:九州中部では4月中~下旬)、1番草の出穂前後(同、7月下旬~8月上旬)、2番草の糊熟~黄熟期(同、10月上~中旬)に収穫を行う。収穫前には収穫機械の地耐力確保を考慮した水管理を行う(図1)。
- 栽植密度が高いほど1・2番草の合計で多収である。栽植密度はできるだけ高く(27.3~40株/㎡)する(図2)。
- 多収を得るためには堆肥、化成肥料を多く施用する(図3)。堆肥は3~6t/10a程度、化成肥料は窒素で主食用水稲の2~3倍程度を基本に地力をみて調節する。化成肥料は基肥と刈取り後の追肥の2回施用する。硝酸態窒素含有率は極めて低い(図3)。1番草は青刈し、2番草は草丈が高くないため倒伏の危険性は小さい(表1)。
- 品種に「スプライス」を用いた場合、乾物収量は約1.4~1.8t/10aが得られる(表1)。
- 飼料イネの推定TDN含有率はギニアグラス、スーダングラスと同程度である。2回刈り栽培では1回刈り栽培と比較して、1番草は粗蛋白質が多く、推定TDN含有率は低い。2番草は粗蛋白質が少なく、推定TDN含有率は高い。2回刈り合計の推定TDN収量は、1回刈りよりやや少ない程度である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本技術は暖地の平坦地水田での飼料イネ栽培に活用できる。
- 1番草収穫時には再生を損なわないよう刈株の踏圧を最小限にする。ロールベール 調製法および家畜への給与法の詳細については今後の検討を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
肥料
イタリアンライグラス
栽培技術
収穫機
水田
水稲
品種
水管理
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