タイトル |
重心位置制御による傾斜地でのトラクタ作業の安定化 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
玉城勝彦
元林浩太
瀬川敬
飯嶋 渡
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発行年度 |
2000 |
要約 |
トラクタに装着したウェイトを傾斜角に応じて左右方向に移動させることで、トラクタの重心位置を制御し左右の車輪荷重を等しくすることにより、傾斜地作業の安定・安全性を高め、さらにけん引力,直進性・操作性の向上が図れる。
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背景・ねらい |
中山間地をはじめ全国に数多く見られる傾斜地圃場において、圃場管理作業を機械化する上で車両の走行安定性および安全性の向上が大きな問題となっている。そこで、トラクタに可動式のウェイトを取り付け、傾斜角に応じて左右方向に移動させて重心位置を制御することにより、急傾斜地での安全性・走行性を大幅に向上させる。
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成果の内容・特徴 |
- 式(1)より算出される質量を持ったウェイトを左右に移動させる機構を持つアタッチメントをトラクタに装着し、傾斜角に応じてウェイトを移動することで車両系全体の重心位置を制御し、傾斜地においても平坦地と同様に左右の車輪荷重をほぼ等しくすることが可能となる。
- 傾斜地での等高線方向作業において、本機構により左右の車輪荷重を等しくすることで、転倒角、旋回時の横転限界速度、けん引力等が増加し、傾斜地作業の安全化・安定化が図れる。また、斜面下方への旋回作用を抑制できるため、操舵角の補正を行うことなくほぼ直進を維持できるようになり操作性が向上する。
- トラクタ(四輪駆動,四輪操舵,機関出力:34kW,質量:1600kg,輪距:1500mm,重心高さ:430mm)に前部370kg,後部150kgの可動ウェイトを装着し(図1)、Lw=0.8mとした場合、傾斜角15°の斜面において左右の車輪荷重を等しくすることが可能となる。これにより、傾斜角15°の採草地(3番草刈取後)における最大けん引力は9.1kNから10.7kNとなる(図2)。また、等高線方向へ定常走行させる場合、ヨー角の変化を抑えることができ、直進の維持が可能となる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ウェイト部を作業機に置き換えることで傾斜地用作業機の開発に活用できる。
- ウェイト移動時の慣性力による危険回避のためウェイト移動速度に留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
機械化
傾斜地
中山間地域
圃場管理
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