二段発酵によるイタリアンライグラスロールベールサイレージ品質の安定化

タイトル 二段発酵によるイタリアンライグラスロールベールサイレージ品質の安定化
担当機関 草地試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 加茂幹男
河本英憲
喜田環樹
佐竹康明(愛媛県畜産試験場)
市戸万丈
早坂貴代史
張建国
天羽弘一
田中治
藤田泰仁
蔡義民
発行年度 2000
要約 イタリアンライグラスロールベール・ラップサイレージを固定サイロに解体・細断し再貯蔵することによって,pHを低下させ発酵品質を安定化させることができる。また,再貯蔵後の貯蔵期間を60日以上とすることによって,固定サイロ開封後の好気的変敗を抑制できる。
背景・ねらい
省力的なロールベール・ラップサイレージ(以下ロールベール)体系は,全国的に普及しているが,個々のロールベールに品質ムラがあり,TMRの基礎飼料としては使いづらい点が指摘されている。また,ストレッチフィルムは移動や保管中にダメージを受けやすく,それによる気密性の低下は品質劣化やカビ汚染につながりかねない。そこで,これらロールベール体系の欠点を補完し,その特徴を最大に活用する技術として,ロールベールを圃場における短期的な一次貯蔵と位置づけ,牛舎近くの固定サイロに再貯蔵して利用する二段発酵調製システムを開発した。 
成果の内容・特徴
  1. 水分含量が65%~50%の範囲内のイタリアンライグラスロールベールを市販のロールベールシュレッダを用いて10cm程度に細断して,荷重を加えることができる固定サイロに再貯蔵して品質を安定化させる技術である。
  2. 乳酸発酵が十分に行われた高品質なロールベールを再貯蔵すると,pHが上昇する等の悪影響はない(図1-A)。一方,乳酸発酵が不十分であったロールベールを再貯蔵すると,乳酸発酵が誘起されpHが低下する(図1-B)。また,水分が60%以上のロールベールなどでは再貯蔵後のpH低下が緩慢になることがある。その場合は,再貯蔵時に配合飼料を原物あたり10%添加すると効果的にpHを低下させることができる(図1-C)。
  3. 低pHは貯蔵中の酪酸含量の上昇を抑制する(図2)。一方,酢酸含量は再貯蔵後緩やかに上昇するが,それに伴って酵母が減少し(図2),開封後の発熱が抑制される(図3)。また,ロールベールは解体時にカビがサイレージ1gあたり104個程度存在する場合があるが,再貯蔵2日目以降は検出限界以下となる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ロールベールをTMRのベースとする場合やロールベールの発酵品質が安定していない場合の対策技術として活用できる。
  2. 再貯蔵時には,踏圧や重石によって貯蔵密度をできるだけ高め,気密性を十分に確保する必要がある(地下角形サイロのような開口部が狭い縦型タイプを推奨)。

図表1 225052-1.png
図表2 225052-2.png
図表3 225052-3.png
カテゴリ イタリアンライグラス

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