植物生育阻害活性を持った三種類の新規物質の化学構造と生物活性

タイトル 植物生育阻害活性を持った三種類の新規物質の化学構造と生物活性
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1997~2002
研究担当者
発行年度 1997
要約  タイワンレンギョウ(Duranta repens )の葉の中から,植物生育阻害活性を持った三種類の新規物質(トリテルペノイド系サポニン)を発見した。これらの新規物質は,イヌビエ(Echinocloa crus-galli )幼根の伸長成長を,フェルラ酸,クマリン,ケイ皮酸などよりも強く阻害する。
背景・ねらい  自然界で生育している植物の体内には,他の植物に対して生育阻害作用を持つ化学物質が多数存在している。このような天然物質を利用すれば,新しい雑草防除,植生管理,農薬の開発などに道が開かれる。
 クマツヅラ科のタイワンレンギョウ(Duranta repens )の木陰では雑草の生育が著しく悪いことから,雨水等によって葉から溶けだした水溶性の化学物質が樹下の雑草の生育を抑制して,アレロパシー現象を起こしている可能性が指摘されている。本研究では,このタイワンレンギョウの葉の中に含まれている植物生育阻害物質を分離・精製し,その化学構造と生物活性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 80%メタノールを用いてタイワンレンギョウの葉から植物生育阻害物質を抽出し,これを分離・精製した結果,三種類の植物生育阻害作用を持つ物質を単離した。タイワンレンギョウの学名より,これらの物質をDR1, 2, 3と命名した。
  2. FAB-MS, NMRスペクトル等を検討した結果,DR1, 2, 3は図1に示した化学構造を持つ,トリテルペノイド系サポニンであった。この中で,DR2, 3は珍しい糖であるアピオースを糖鎖中に含む物質であり,DR1, 2, 3はいずれも新規物質である。
  3. タイワンレンギョウの乾燥した葉の中における DR1, 2, 3の含有量は,それぞれおよそ0.2,1.0,0.2%である。
  4. イヌビエ(Echinochloa crus-galli )の幼根に対する伸長成長阻害活性は,DR1, 2, 3間で差が認められない(図2)。
  5. DR2は,イヌビエ幼根の伸長成長を,フェルラ酸,クマリン,ケイ皮酸などよりも強く阻害する(図3)。
成果の活用面・留意点  タイワンレンギョウの木陰における,雑草の生育抑制現象の解明に役立てる。
図表1 225212-1.gif
図表2 225212-2.gif
図表3 225212-3.gif
カテゴリ 病害虫 乾燥 雑草 植生管理 農薬

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