| タイトル |
地球温暖化による主要穀類栽培可能地分布と潜在生産力の変化 |
| 担当機関 |
農業環境技術研究所 |
| 研究期間 |
1997~2001 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1997 |
| 要約 |
現在と二酸化炭素濃度倍増時の世界の主要穀類等栽培可能地における潜在生産力(純一次生産力)の分布を求めた。現在の穀物生産量と潜在生産力との比(潜在的生産可能性)は,温暖化によってカナダ,ロシアでは6~9倍,中国では2.1倍になるのに対してアメリカでは約30パーセント減少すると予測された。
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| 背景・ねらい |
近年,地球環境変化の農業生産に及ぼす影響が懸念されており,世界の農業生産地域における生産力を評価・予測することは重要な課題である。ここでは,先に開発された主要穀類等の栽培可能地推定手法(農業環境研究成果情報 第13集)を用いて,世界の穀物栽培可能地域における純一次生産力(NPP)を計算した。NPPは自然条件下の潜在的生産力であり,灌漑等の技術改良を考えない場合には作物収量と強い相関がある。
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| 成果の内容・特徴 |
- 現在の気候条件としてIIASA(国際システム解析研究所)の世界気候データを用いた。また,温暖化気候条件としては気象庁気象研究所大気大循環モデル(MRI-CGCM)の出力結果を補間したデータを使用した。現在の穀物栽培可能地における純一次生産力の分布を図1,温暖化時における分布を図2に示した。純一次生産力はMiamiモデル(Lieth, 1973)によって計算した。このモデルは自然植生の地理気候分布に基づいて作成されたものであり,世界的に広く用いられている。
- 温暖化に伴い,北アメリカのコムギ栽培に適した気候条件の地域は北上すると予測された。また,ヨーロッパではコムギ,トウモロコシの栽培可能地は消滅し,中国では内陸部の栽培可能地が減少すると予測された。これらは降水量の減少による乾燥化によるものである。一方,中緯度の多雨地帯や低緯度地帯は,温暖化の影響を受けないか,あるいはむしろ良くなると予測された。
- 主要穀物生産国6ヶ国について,現在の穀物生産量(FAO)と温暖化前後における各国の栽培可能地の純一次生産力を表1に示す。現在の穀物生産量と純一次生産力との比(潜在的生産可能性)をみた場合,温暖化に伴ってカナダとロシアでは6~9倍,中国では2.1倍になるのに対して,アメリカでは逆に30パーセント程度減少することが予測された。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 本研究成果は,穀物等栽培可能地推定手法に基づき純一次生産力を求めた結果であり,環境変化による世界の農耕地における生産力の変動を推定することができる。
- 作物・地域別に栽培期間を考慮した生産力推定,農耕地の土壌水分条件,肥沃度等を考慮に入れた栽培可能地推定手法の改良は今後の検討課題である。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| カテゴリ |
乾燥
とうもろこし
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