| タイトル |
地下水位制御に基づくミズゴケ高層湿原の復元・保全指針 |
| 担当機関 |
北海道農業試験場 |
| 研究期間 |
1997~1997 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1997 |
| 要約 |
地下水位・微地形・植生等を調査して,地下水の動きに関する主要因を抽出し,構築した予測モデルに基づいて,遮水シートによる保全策を実施した結果,シート内側の水位が高まり,ササが衰退した。ササなど侵入植生の除去により,ミズゴケ高層湿原群落が復元される。
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| 背景・ねらい |
貴重な動植物の宝庫となっていることなどから,湿原の保全が関心を集めている。しかし,湿原周辺部は農用地への開発・利用がすすめられ,農地として利用するための排水が進められた結果,保護されるべき湿原内の地下水位までが低下して,湿原が荒廃し,あるいは荒廃の危険にさらされるという事例が生じている。 そこで,荒廃し,あるいは荒廃の恐れのある高層湿原の成立環境条件を解析し,地下水位の制御によるミズゴケ群落の復元・保全試験を行って,湿原復元の指針を得ようとした。
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| 成果の内容・特徴 |
- 湿原の地下水位を左右する主要因は,美唄湿原では周辺の過剰排水,地表面の沈下と降雨,赤沼湿原は安定した周辺湿原と降雨,達古武湿原は湖沼の水位変動と湿原自体の浮沈等であると推定され,湿原によって異なる(図1)。湿原の地下水位変動と関連要因および植生分布の調査等は,地下水位の変化を表わす機能的モデルを作成するための基礎になる。
- 美唄湿原について,微地形,降水,蒸発散,泥炭の透水性等,関係要因を組み込んで,地下水位の分布や変動を説明する機能的モデルを構築し,等高線状に地下水の移動抑制物を設置するなどの対策の効果を予測した(図2)。このシミュレート結果に基づいて,地下1mまでの水の移動を抑制する遮水シートを設置した結果,予測どおりシートの内側の水位が外側に比べてわずかに高まり,設置後3年目に至ってシート内側付近のササが衰退しはじめた(図3)。従って,復元対策を決定するに当って,シミュレーションモデルを利用することが有効である。
- ササを刈り払ってミズゴケを植えた試験区では,面積の大半をミズゴケが占めるに至った。またササ等を刈り取っただけでミズゴケを栽植していない処理でも,ミズゴケ群落が徐々に復元された(図4)。地下水位を5~10cm程度に上昇させるとササなどの進入植生を抑制できるので,地下水位を好適にすれば,ササなど侵入植生を衰退させて,ミズゴケ群落を復元・保全することができる。
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| 成果の活用面・留意点 |
- 湿原の立地環境に応じた適切な復元・保全策を立案する際の指針とする。
- 湿原植生自体の生長・堆積と,泥炭の分解・沈下等による長期的な湿原の水位変化については,シミュレーションモデルの考慮に入れることができなかった。
- 湿原の立地環境に応じて,地下水位の動きを説明する機能的モデルを,構築する必要がある。
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| 図表1 |
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| 図表2 |
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| 図表3 |
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| 図表4 |
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| カテゴリ |
肥料
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