タイトル |
ソバ属植物のアレロパシーとソバを利用した植生管理 |
担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
荒谷 博
藤井義晴
平舘俊太郎
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発行年度 |
2003 |
要約 |
アレロパシー活性をプラントボックス法で検定するとソバ属植物に強い阻害作用がある。ソバには,他感物質として没食子酸,ファゴミン,および数種のピペリジンアルカロイドが含まれている。雑草が発生する前にソバを播種すると,顕著に雑草が抑制される。
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背景・ねらい |
遊休農地や法面などではエゾノギシギシやオオブタクサなどの雑草が繁茂して,景観を損ねている。除草剤や機械による刈り取りは環境影響や労力とコストの面で問題がある。このため,アレロパシー活性の強い被覆植物を利用して,省力的に雑草を管理する方法が有効になる。これに対し,ソバは古くから焼き畑農業において雑草害の顕著な3年目から栽培され,栽培時にほとんど除草を必要としない。そこで,ソバの雑草抑制作用を明らかにするとともに,現場での適用方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- プラントボックス法(農業環境研究成果情報第8集)により被覆植物のアレロパシー活性を検定した結果,ソバ(Fagopyrum esculentum Moench),ダッタンソバ(F. tartaricum Gaertn.),シャクチリソバ(F. cymosum Meisn. )等のソバ属植物の活性が強い(表1)。
- 生理活性を指標としてソバに含まれる植物成長阻害物質を分離・精製した後,質量分析器,NMRおよび旋光度計等により構造解析した。その結果,それらは没食子酸(gallic acid),ファゴミン(fagomine)およびその関連のピペリジンアルカロイド(2-hydroxymethyl piperidine, piperidine-4-one)であることを明らかにした(図1)。
- 各成分のレタスに対する50%成長阻害濃度(EC50)とソバ中の含有量を比較した結果,没食子酸はEC50 が5ppmと他成分より阻害活性が数倍強く,そのうえ地上部に乾燥重量で1.3%も含まれるので,主たる阻害活性成分である。また,没食子酸はキク科,アブラナ科,マメ科等の双子葉植物の生育を5~50ppmの濃度で50%以上抑制するが,イネ科植物への影響は小さい(表2)。
- ソバの雑草抑制効果を現地栽培試験によって確認した結果,雑草放任区では旺盛な雑草の発生が認められたのに対し,ソバを雑草発生前に播種した区(6月播種区)では,雑草の発生は顕著に抑制される。しかし、雑草発生後にソバを播種した区(7月播種区)では抑制効果が小さい(図2)。ソバの下では広葉雑草はほとんど存在しないが、イネ科植物は残存する。
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成果の活用面・留意点 |
- ファゴミンと関連のピペリジンアルカロイドは最近発見された新しいアルカロイドであり,植物生育阻害作用はこれまでに報告されていない。
- ソバは,休耕地や法面等における雑草防除と景観向上を目的とした実用的な被覆植物となる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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