タイトル |
砂質浅耕土転換ダイズ作ほ場における窒素収支 |
担当機関 |
富山農技セ |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
大野智史
高橋茂
八木麻子
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発行年度 |
2003 |
要約 |
砂質浅耕土の転換畑ダイズ作ほ場において、窒素のインプットは根粒窒素固定、アウトプットは子実の収穫に由来する割合がそれぞれ80%以上を占める。また、その窒素収支は負となり、土壌窒素が減少すると試算される。
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キーワード |
転換畑、砂質浅耕土、ダイズ、窒素収支、窒素固定
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背景・ねらい |
砂質浅耕土は土壌窒素含量が少なく、近年はダイズ作における地力窒素の減少が指摘されている。そのため、施肥等の窒素投入量の策定に当たっては土壌生産性の面から考えて、ほ場窒素収支について十分考慮する必要がある。そこで根粒窒素固定のために試算が困難なダイズ作ほ場における窒素収支を試算し、肥培管理の参考となる知見を得る。
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成果の内容・特徴 |
- 転換1年目および転換3年目の両ほ場ともに、成熟期(転換1年目:10/7、転換3年目:10/1)の窒素のほとんど(転換1年目95%、 転換3年目94%)が、子実に集積している(図1)。
- ほ場における2種類のダイズ(エンレイ、エンレイの根粒非着生系統:表1参照)の重窒素自然同位体比から、ダイズの根粒固定由来窒素の割合を算出すると、転換3年目ほ場におけるダイズの窒素は74%が根粒固定由来と推定される(表1)。
- 転換1年目ほ場におけるダイズの根粒固定窒素の割合は、重窒素自然同位体比の差が小さいため、2の方法では算出できない(表1)。そこで、導管溢泌液中のウレイド態窒素濃度を窒素固定活性の指標として、7/18~9/4までの荷重平均値を求め、転換3年目と比較して94%となったことから、70%を窒素固定由来とする(図1、2)。
- ほ場レベルにおける窒素のインプットの80%以上が根粒の窒素固定に由来し、窒素のアウトプットの80%以上が収穫による子実の持ち出しに由来する(図3)。
- ほ場レベルにおける窒素収支は、転換1年目で-6.5kgN/10a/y、転換3年目で-4.6kgN/10a/yであり、転換3年目で収支が増加したのは、収量の低下により子実窒素の持ち出し量が減少したことによる(図3)。
- ほ場系外への窒素負荷量は、転換1年目で4.5kgN/10a/y、転換3年目で4.1kgN/10a/yであり、溶脱が主な要因である(図3)。
- 砂質浅耕土の転換畑ダイズ作において、現行の施肥だけでは窒素収支が負となり、土壌窒素が減少すると試算される(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 土壌有機物が少なく、土性が中粗粒より粗い灰色低地土において活用する。
- 本成果は、2002年度の結果による。
- 転換ダイズ作では有機物投入等を推進していく必要があるが、窒素収支の不足分を投入しても窒素負荷量等の変化により、収支は均衡しない可能性があるため、堆肥等の施用に当たっては施用指針を遵守する。
- 本成果においては、作付け期間中にほ場に還元されていく葉、葉柄、脱落根における根粒固定由来窒素、脱窒は考慮していない。ちなみに乾物最大期頃(9/4)の葉、葉柄の窒素含有量は、転換1年目で3.9kgN/10a、3年目で3.8kgN/10aであった。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
施肥
大豆
肥培管理
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