植物生息細菌の定性・定量的解析とデータベースの構築

タイトル 植物生息細菌の定性・定量的解析とデータベースの構築
担当機関 [分類]学術
研究期間 2001~2005
研究担当者 對馬誠也
小板橋基夫
吉田重信
田村季実子
月星隆雄(花き研)
篠原弘亮(東北農研)
発行年度 2005
要約 栽培イネ、コムギなど8種の植物に生息する細菌約15,000株の定性・定量的解析を行い,それらの情報をデータベース化した。この解析により,植物固有の細菌相の存在を明らかにするとともに,世界ではじめて栽培イネ「コシヒカリ」葉鞘由来の窒素固定菌を発見した。 
背景・ねらい 植物体表面は,紫外線,乾燥と降雨,化学物質などの多くの環境ストレスに晒された一種の「極限環境」といわれている。一方,植物の内部は,植物の生産する毒素や種々の抵抗反応により,植物体表面とは異なるストレスに晒されている。このため,そこに生息する微生物はこのようなストレスに対抗するために様々な生物機能をもつと考えられるが,植物に生息する細菌相についてその構成種類と機能を解析した研究は少ない。そこで,現在取り組んでいる「微生物インベントリー」(microForce)の一つとして,イネ科植物などを対象に,分離情報,DNA情報および機能情報を調べて「植物生息細菌データベース」を構築し,その結果を解析した。 
成果の内容・特徴
  1. イネ,コムギ,オオムギ,トマトおよびチンゲンサイなどの8種の健全植物の葉,穂などから細菌約15,000株を分離し(表1),分離植物名,分離時期,分離培地名,分離者名,16SリボゾームRNA遺伝子(rDNA)塩基配列および各種機能などを収録した植物生息細菌データベースを構築した。rDNAの塩基配列に基づき細菌のグルーピングを行った結果,優占する細菌種は植物種,部位ごとに比較的安定しており,かつそれぞれ特徴的であることが示唆された(図1)。
  2. 栽培イネ「コシヒカリ」の葉鞘から窒素固定菌(Herbaspirillum sp.)が分離された。窒素固定菌が野生イネから分離された例はあるが,栽培イネから分離されたのは世界で初めてである。窒素固定菌は,そのrDNA塩基配列から新種の可能性がある。
  3. その他,本データベースにはムギ類赤かび病菌が生産するかび毒デオキシニバレノール(DON)分解能・耐性能,トマトが生産するアルカロイド(α-トマチン)の分解能・耐性能,展着剤(ノニルフェノールポリエトキシレート)処理のイネ細菌相に及ぼす影響,各種植物の寄生菌に対する拮抗能などの情報が収録されている。
成果の活用面・留意点
  1. 本データベースは,どの植物にどのような種類や機能を持つ細菌が生息しているか,あるいは作物上でどのように利用するか,などの情報を知りたい時に有効である。
  2. これら微生物情報の一部に関しては現在研究中であり,限定した形で公開中である。得られた成果については、現在公開中の「微生物インベントリー」(microForce)上で公開する予定である。
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図表1 225453-1.jpg
カテゴリ 大麦 乾燥 チンゲンサイ データベース トマト

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