高頻度観測衛星センサー(MODIS/Terra)を活用してメコンデルタの洪水と稲作を動的に捉える

タイトル 高頻度観測衛星センサー(MODIS/Terra)を活用してメコンデルタの洪水と稲作を動的に捉える
研究期間
研究担当者 生態系計測研究領域 坂本利弘
石塚直樹
大気環境研究領域 横沢正幸
大野宏之
発行年度 2006
要約 MODIS/Terraデータから算出した水指数・植生指数を時系列に解析することによって、湛水域と水稲生育ステージを把握する手法を確立しました。本手法をメコンデルタに適用し、洪水と水稲作付パターンの季節及び年次変動を明らかにしました。
背景・ねらい 水域や農業的土地利用の変動を広域モニタリングする上で、衛星データが活用されていますが、洪水の拡大過程や水稲生育過程を連続的に捉えるには、データの観測頻度や解像度が障害となっていました。そこで、ほぼ毎日観測可能で、既存衛星センサー(1km解像度)よりも空間分解能が高いMODIS/Terraデータ(500m解像度)を活用することによって、湛水域や水稲生育ステージを把握する手法を確立し、ベトナムメコンデルタを対象に洪水や水稲作付パターンを多年時にわたって観測することを目的としました。
成果の内容・特徴 多時期のMODIS/Terra8日間合成画像を用いて、地表面の水分と植被状態を表す水指数と植生指数から湛水域の時系列変化を抽出する手法を開発しました(図1)。この手法により、メコンデルタにおける2000年~2004年の洪水域の変動を追跡できるようになりました (図2)。この結果、ベトナムメコンデルタ上流部(Long An省とDong Thap省)の2004年の洪水を基準にした場合、2000年の大規模洪水と2003年の小規模洪水とでは、洪水面積に関して、+38%と-12%の変動があることが分かりました(図3)。また、湛水時期の開始日、終了日、期間をマップ化することによって、水稲栽培の阻害要因である洪水が、時間的・空間的に偏在していることが分かりました(図4)。
次に植生指数の季節変化曲線(図5 右側)で出穂期にあたるピークの数とその出現時期から、水稲作付パターン(三期作、乾季二期作等)を判別しました (図5)。上流部の乾期二期作地域(図5 青色)は、雨期の洪水(図4)を避けた二期作を行なっています。そして、作付け回数が年2回から年3回に増加している領域が抽出され(図5 矢印)、現地調査の結果、この領域が堤防建設によって洪水期の栽培が可能になった地域を示していることが分かりました。このように、本手法は、農業的土地利用を把握し、その季節及び年次変動を広域モニタリングする際に役立ちます。
図表1 225476-1.jpg
カテゴリ 水稲 モニタリング

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