魚類ビブリオ病起因Vibrio anguillarumのDNAプローブ法による迅速同定技術の開発

タイトル 魚類ビブリオ病起因Vibrio anguillarumのDNAプローブ法による迅速同定技術の開発
研究期間 1990~1993
研究担当者 :伊藤博哉
関崎勉
寺門誠致
内田郁夫
発行年度 1993
要約 Vibrio angillarumに特異的なDNA断片を同定するとともに,非放射性物質標識DNAプロープを用いたコロニーハイブリダイゼーション法による本菌の迅速同定技術を開発した。
背景・ねらい Vibrio anguillarumを起因菌とするビブリオ病は,細菌性魚病の中でも古く
から知られている疾病の一つである。本病の養殖産業界に与える被害は甚大
であり,その被害を最小限にとどめるためには,本病の迅速かつ信頼性の高
い診断法が必要である。しかし,本病は症状からは他の細菌性感染症と区別
し難く,診断の困難な魚類細菌病の一つとなっている。本病診断のために,
従来は細菌学的性状検査による分離菌株の同定が実施されてきた。しかし,
分離菌株の菌種同定には,多くの労力と時間を要するため,従来の方法に代
わる簡便・迅速かつ特異的な同定法が望まれている。そこで,近年病原細菌
の新しい同定法として注目されている,遺伝子の特異的塩基配列を利用した
V.anguillarumの迅速同定法について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 遺伝子ライブラリーから,V. anguillarumに特異的なDNA断片(1.6
    kb及び1.0kb)2つを選び,非放射性物質(ジゴキシゲニン)で標
    識したプローブ(それぞれVANG-306及びVANG-366)を作製
    した。
  2. 2つのプローブを用いたコロニーハイブリダイゼーションでは,いずれも
    V.anguillarumにのみ特異的に反応し,他の主要な急病細菌及び他のビブリ
    オ属菌とは反応しなかった
    (表1)。
    特に,V.anguillarumと近縁なV.ordaliiに対しても反応しなかった
    (図1)。
  3. 1コロニー程度の培養菌があれば,翌日の午前中までには菌種同定が可能
    であり,従来の一般細菌学的性状検査よりも迅速であると考えられた。
成果の活用面・留意点 本法は,非放射性物質であるジゴキシゲニンで標識したプローブを使用する
ので,ラジオアイソトープを使用できない一般の検査室でも実施可能である。
また,少量の培養菌があれば,翌日には結果が判明するので,V.anguillarumの
簡易迅速同定法の一つとして活用できる。
図表1 225538-1.gif
図表2 225538-2.gif
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる
S