チュウザンウイルスのカプシド蛋白質遺伝子の構造

タイトル チュウザンウイルスのカプシド蛋白質遺伝子の構造
研究期間 1989~1993
研究担当者 古内進
後藤義之
山川睦
田中深雪
徳久修一
発行年度 1993
要約 チュウザンウイルスのカプシドタンパク質VP2,VP5およびVP7は各々ゲノム分節2,6および7によりコードされており,他の血清群に属するブルータングウイルス,シカ流行性出血熱ウイルス,アフリカ馬疫ウイルスとの間で強い遺伝的関連性が認められる。
背景・ねらい チュウザンウイルスは,10分節からなる2本鎖RNAゲノムを有するオル
ビウイルス属パリアム血清群のウイルスである。パリアム血清群のオルビウ
イルスは,これまで病原性が明らかにされておらず,充分な研究が行われて
いなかったが,チュウザン病の発生が見られるに至り,牛の流行性異常産の
重要な病因の一つとして認識されるようになった。そこでウイルス遺伝子の
構造および機能を明らかにし,変異しやすいパリアム血清群のウイルスの分
子疫学的研究や新世代ワクチン・診断液の開発に資する。
成果の内容・特徴
  1. チュウザンウイルスK‐47株の2本鎖RNAを鋳型としてcDNAク
    ローニングを実施し,cDNAライブラリーを作製した。
  2. 血清型特異性に関与している外殻カプシドタンパク質VP2およびVP
    5,また血清群特異性に関与しているコアタンパク質VP7をコードしてい
    ると思われるゲノム分節2,6および7のcDNAクローンについて塩基配
    列を決定したところ,その総塩基数は3055bp(分節2),1610bp
    (分節6)および115bp(分節7)であり,いずれも単一のopen
    reading frameを有していた
    (表1)。
  3. mRNA-senseの両末端は分節2ではオルビウイルスに特徴的な
    末端共通塩基配列5’GUUAAA……ACUUAC3’と一致していたが
    ,分節6および7では若干の塩基の置換が認められた
    (図1)。また分節し
    たゲノムを有する他のウイルス同様に,末端部位に近接して短いinverted
    repeatが認められた。
  4. 各分節がコードしているタンパク質は1002個(分節2),521個
    (分節6)および348個(分節7)のアミノ酸から構成されていた
    (表1)。
    これらのアミノ酸配列を既知の他血清群のオルビウイルス(ブルータン
    グウイルス,シカ流行性出血熱ウイルス,アフリカ馬疫ウイルス)のそれと
    比較したところ,分節2のコードするタンパク質はVP2との間で19.7
    ‐22.5%の低い相同性を示したのみであったが,分節6のコードするタ
    ンパク質はVP5との間で41.7‐47.6%,分節7のコードするタン
    パク質はVP7との間で42.1‐53.3%の相同性を示し,異なる血清
    群間で比較的よく保存されていた
    (表2)。
成果の活用面・留意点 感染防御関連遺伝子が単離され,その塩基配列が決定されたことにより,
cDNAプローブやRT-PCR法等を用いたウイルス遺伝子の検出による診
断法や安全で有効な組み換えワクチンの開発,またパリアム血清群の分子疫
学的研究への応用の可能性が示された。
研究課題名:チュウザンウイルスの病原性遺伝子;異常産関連ウイルスの病
原性遺伝子の発現調節機構の解明
予算区分 :ハイテク(動物DNA)
研究期間 :平成元年度~平成5年度
研究担当者:山川睦・田中深雪・後藤義之・徳久修一・古内進
発表論文等:
1)第110回日本獣医学会講演要旨集,p.168(1990).
2)第117回日本獣医学会講演要旨集,p.179(1994).
図表1 225552-2.gif
図表2 225552-3.gif
図表3 225552-4.gif
カテゴリ 馬 シカ

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