ウシ白血病ウイルス受容体とマウス相同蛋白の構造的相違

タイトル ウシ白血病ウイルス受容体とマウス相同蛋白の構造的相違
担当機関 家畜衛生試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約   ウシ白血病ウイルス受容体 (BLVR) は膜貫通蛋白と報告されているが,著者らのクローニングしたマウス BLVR は膜貫通蛋白ではないと考えられ,最近 cDNA がクローニングされたヒトアダプター様蛋白複合体-3δサブユニットと非常に高い相同性を持つことが分かった。
要約(英語) The first step in virus infection is the binding of viruses to cellular receptors, and cell or species specificities of virus infection are determined in part by the virus receptors.  The cDNAs of a candidate gene of BLV receptor (BLVR) were cloned as a gene coding a protein which binds to BLV Env protein, and transfection of the BLVR cDNA into mouse NIH3T3 cells greatly increased the susceptibility of the cells to BLV infection.  Although the reported bovine BLVR cDNA was supposed to be a type I transmembrane protein which has signal peptides and a transmembrane (TM) domain, the mouse cDNA (mBLVR1) we cloned lacked the corresponding transmembrane and cytoplasmic regions of the predicted bovine BLVR protein and was closely related to the δsubunit of adaptor-related protein complex, AP-3, not associated with the cell surface. Thus the mouse BLVR homologue appeared to be the mouse AP-3 δsubunit itself or closely related to it, but the bovine BLVR gene seemed slightly different from the adaptor subunit gene family. (Lab. of Immunogenetics, Department of Immunology, TEL +81-298-38-7757)
背景・ねらい
  牛白血病ウイルス (Bovine Leukemia Virus: BLV) は地方病性牛白血病の原因ウイルスである。BLV による白血病発症は,ウイルスと宿主の複雑な長い相互作用を経て起こるが,その基本となる生体内での BLV 増殖過程,標的細胞であるB細胞への感染と腫瘍化過程などについて不明なことが多い。また ,BLV が感染するのは動物実験では牛,羊,兎,チンパンジーなどに限られているが,宿主特異性を決定する因子は不明である。われわれはBLV が細胞へ感染する初期過程を明らかにする目的で,BLV 受容体(BLVR)に注目した。マウスは BLV に非感受性であるが,遺伝的な情報が多く BLV 受容体蛋白の本来の生理学的機能などを知るのに適していることから,マウスの BLVR 相同遺伝子の cDNA を解析した。
成果の内容・特徴

  1. C57BL/6 マウス脾臓由来の cDNA ライブラリーよりマウス BLVR cDNA をクローニングし,その塩基配列を決定した。マウス BLVR は膜貫通蛋白と報告されているウシ BLVR とは構造が異なり,膜貫通蛋白ではないと考えられた。またマウス BLVR cDNA は,最近報告されたヒトアダプター様蛋白複合体(AP)-3δサブユニットと非常に高い相同性を持つことが明らかとなった(図1)。
  2. 3' 非翻訳領域の配列を用いて PCR-SSCP 法によりマウス BLVR染色体上の位置を決定した。マウス BLVR は第10染色体上に存在し,この領域はウシ第7染色体上のウシ BLVR存在する領域と一致した。また,この領域はヒト第19染色体に保存されており,BLVR 遺伝子がヒト第19染色体に存在する可能性が示唆された(図2)。
  3. AP-3δサブユニットは細胞内に局在し,小胞を介したゴルジからの蛋白輸送に関与すると考えられている。マウス BLVR も同様に細胞内に局在すると考えられる。(図3)。
成果の活用面・留意点
      マウス BLVR はヒトアダプター様蛋白複合体(AP)-3δサブユニットと非常に高い相同性を示し,細胞表面に存在しないと考えられた。細胞表面に存在しないレトロウイルス受容体は今まで報告がなく,ウシ BLVR について再度解析しなおす必要がある。

図表1 225640-1.JPG
図表2 225640-2.JPG
図表3 225640-3.JPG
カテゴリ ICT パンジー 輸送

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