| タイトル | 牛ブドウ球菌性潜在性乳房炎に対するrboGM-CSFの治癒効果 |
|---|---|
| 担当機関 | (独)農業技術研究機構 動物衛生研究所 |
| 研究期間 | 1997~2002 |
| 研究担当者 |
横溝祐一 犬丸茂樹 高橋秀之 新井鐘蔵 堀野理恵子 |
| 発行年度 | 2002 |
| 要約 | 牛組換えサイトカイン、rboGM-CSFを潜在性乳房炎罹患乳房に投与し、治癒効果を調べた。その結果、感染早期であれば、ブドウ球菌由来の乳房炎でも治癒が可能であった。 |
| キーワード | 乳牛、ブドウ球菌、潜在性乳房炎、rboGM-CSF、乳汁化学発光能 |
| 背景・ねらい | 黄色ブドウ球菌やCNSなどのブドウ球菌(ブ菌)は、毒性と定着性が強いため、この菌による乳房炎の治癒率は極めて低い。そのため、ブ菌由来の乳房炎は、世界に共通して、解決すべき最重要難治疾病の一つとされている。またこの菌は、病巣に肉芽腫や膿瘍を形成し、病気が慢性化する場合が多いので、感染の初期に発見し、徹底的に治療することが重要である。我々は、先に貪食細胞が殺菌時に放出する化学発光を応用した乳房炎早期診断法(乳汁CL法)を開発した。この方法は、乳房への細菌侵入開始の時期から検出が可能であるため、初期乳房炎の診断に有効であることが確かめられている。そこで、乳汁CL能、乳汁体細胞数(SCC)、ブ菌数及びCMT変法値を主な診断指標にして、貪食細胞を活性化する働きを持つサイトカインであるrboGM-CSFをブ菌由来の潜在性乳房炎罹患乳房に投与し、本サイトカインのブ菌由来乳房炎に対する治癒効果を調べた。 |
| 成果の内容・特徴 | 1. 泌乳中期のホルスタイン牛7頭を用いた。乳汁CL法とCMT変法の判定によって、乳房炎感染後4週間以内の牛を短期群(3頭)、4週間以上経過した牛を長期群(4頭)とした。 2. 培養液含有生理食塩水(対照液)10mlを乳房炎罹患乳房に投与して7日間採材を行った後、プロジェクト「サイトカイン」で作製した牛組換えサイトカイン、rboGM-CSF400μg/対照液10mlを同一の乳房に投与して7日間採材を行った。CMT変法値は25日目まで測定を行った。 3. CMT変法値は、長期群ではrboGM-CSF投与前後とも陽性が25日間に亘って続いた。短期群では投与前に比べ投与後3日間は強陽性であったが、投与7日目には陰性に転じた。さらに、11日目、14日目、25日目でも陰性であった(図1)。 4. 両群とも、rboGM-CSF投与によって直腸温は投与6時間目に0.2~0.5℃ほど上昇したが、それ以降は正常体温に戻った(図2(a))。 5. 日乳量は、両群とも対照液またはrboGM-CSF投与による減少は起こらなかった(図2(b))。 6. 乳汁CL能は、短期群はrboGM-CSF投与によって6時間目をピークとする著しい上昇が起こった後、3~7日目ではほぼゼロの値になった。一方、長期群でも6時間目に著しい上昇が起こったが、短期群ほど強くはなく、且つ3~7日目では高い値のままであった(図3(a))。 7. SCCは、rboGM-CSF投与によって両群とも6時間目または1日目をピークとする著しい増加が起こったが、増加度合いは短期群の方が大きかった。また、短期群では7日目には約17万個/mlまで減少したが、長期群では7日目でも約421万個/mlの高い値であった(図3(b))。 8. 乳汁ブ菌数は、長期群ではrboGM-CSF投与により投与後1~3日目に2分の1~100分の1に減少したが、7日目には菌数の回復(増加)が見られた。一方、短期群ではrboGM-CSF投与により1日目から7日目まで一貫して100分の1以下に減少し続けた(図3(C))。 9. 以上、長期群では治癒効果は判然としないが、短期群ではrboGM-CSFによる治癒効果が期待できることが明らかとなった。 |
| 成果の活用面・留意点 | 1. 難治性のブドウ球菌由来の潜在性乳房炎でも、感染して短期間内であればrboGM-CSFで治癒が可能であることから、将来の乳房炎の新しい治療剤の一つとして期待できる。 2. 但し、組換えサイトカインは一方で炎症亢進・組織障害作用を併せ持ち、食品の安全性についても不明確な点があるので、実用化のためにはこれらの問題を解決する必要がある。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ | 乳牛 |
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