山羊関節炎・脳脊髄炎の診断法と国内浸潤状況

タイトル 山羊関節炎・脳脊髄炎の診断法と国内浸潤状況
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2003~2004
研究担当者 小西美佐子
村上賢二
播谷 亮
木村久美子
発行年度 2004
要約 2002年我が国で山羊関節炎・脳脊髄炎の初発例を確認した。国内における本疾病の感染状況を調べるため、寒天ゲル内沈降試験、PCR、シンシチウムアッセイ及び間接蛍光抗体法による診断法を確立した。
キーワード ヤギ、山羊関節炎・脳脊髄炎(CAE)、CAE初発例、診断法
背景・ねらい
山羊関節炎・脳脊髄炎(CAE)は、欧米では数多く発生が報告されているが、日本では2002年8月に初めて発生が確認され、国内における浸潤状況や伝播様式など不明な点が多く、その診断法も確立されていない。そこで、CAE清浄化へ向けて国内の浸潤状況を明らかにするために、ウイルス学及び血清学的診断法の確立を試みた。
成果の内容・特徴
1.
寒天ゲル内沈降試験(AGID):CAEウイルス(CAEV)と共通抗原を有するマエディウイルスを羊胎児肺(FLL)細胞に持続感染させ、その培養上清からAGID抗原を作製した。この抗原を用いて抗体検査を行ったところ、陽性指示血清で明瞭な沈降線が認められた(図1)。
2.
PCR法:感染細胞からDNAを抽出し、CAEVgag遺伝子検出用プライマーを用いてnested PCRを行ったところ、予測されたサイズ(first PCRで296bp、nested PCRで184bp)のバンドが検出された(図2)。
3.
シンシチウムアッセイ法:ウイルス分離のために初発例の関節液等をFLL細胞に接種し三代継代した後、ギムザ染色したところ、CAEVが属するレトロウイルスに特徴的な多核巨細胞が観察された(図3左)。
4.
間接蛍光抗体法(IFA):初発例から分離されたウイルスを同定するため、分離ウイルスを感染させたFLL細胞を用いてCAEV陽性血清を一次抗体、FITC標識ウサギ抗ヤギIgG抗体を二次抗体としてIFAを行ったところ、感染細胞の細胞質に特異蛍光が観察された(図3右)。
以上より、我が国におけるCAEのウイルス学的・血清学的診断法が確立された。また、AGID及びPCR法を用いて2002年7月から2004年12月までに初発農場の山羊及び初発農場から導入された山羊(初発農場関連個体)を中心に浸潤状況調査を行った結果、全国におけるCAEV抗体陽性率は19.5%であり、そのうち初発農場関連個体における陽性率は58.2%と高いことが判明した(表1)。
成果の活用面・留意点 1.
今回確立したAGIDは、農林水産省消費・安全局衛生管理課のCAEサーベイランスで用いられている。また、希望する県には抗原を配布し、各県での抗体検査に活用されている。
2.
本課題の診断法に基づく陽性個体の早期摘発と、出産直後の母子分離等の併用により、CAEの清浄化が進められている。
カテゴリ 山羊

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