Salmonella Typhimurium DT104はADP-ribosyltransferase毒素と相同性を示す遺伝子(artAB)を保持している

タイトル Salmonella Typhimurium DT104はADP-ribosyltransferase毒素と相同性を示す遺伝子(artAB)を保持している
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 横溝祐一
鮫島俊哉
秋庭正人
菅野 徹
西森 敬
斉藤真理子(北海道根室家保)
石原涼子
中沢宗生
田中聖
内田郁夫
畠間真一
北野理恵
牧野壮一(帯広大)
木嶋眞人
発行年度 2005
要約  Salmonella Typhimurium (ST)ファージ型104(DT104)の溶原化ファージゲノム中に百日咳菌毒素のADP-ribosyltransferaseと相同性を示す遺伝子(artAB)を見いだした。artABはDT104において共通に保持されており、DT104の病原因子としての可能性が注目される。
キーワード ウシ、サルモネラ、病原因子、溶原化ファージ、ADP-ribosyltransferase
背景・ねらい  近年Salmonella Typhimurium(ST)ファージ型DT104は人の食中毒や家畜のサルモネラ症の原因菌として注目されており、我が国の家畜においてもその分離例が報告されている。現在のところDT104は他のファージ型菌よりも病原性が強いという実証はないものの、疫学的観点から本菌が新たな病原因子を獲得した可能性が指摘されている。そこで、ゲノム解析によりDT104における病原因子を探索した。
成果の内容・特徴 1.
DT104の溶原化ファージをマイトマイシンC処理により誘導し、得られたファージゲノムを制限酵素HindIIIにより消化し、0.4 kbの断片をクローニングした。クローニングした断片のシークエンスはSTファージ型DT64で報告されている溶原化ファージの遺伝子と相同性を示した。このシークエンスを起点として、Genome Walking法により、その周辺領域約4kbのシークエンスを決定した。その結果、百日咳菌の毒素として知られているADP-ribosyltransferaseと相同性を示す2つの遺伝子を見いだし、これらをartA及びartBとした(図1)。
2.
ArtA及びArtBは、S.Typhi及びS.Paratyphi Aのゲノム中に報告されているputative pertussis toxin genesと高い相同性を示した(図2)。
3.
artAをプローブとしてハイブリダイゼーションを実施した結果、artAは16株のDT104全てに検出され、DT104以外の菌株では、14株中1株(NCTC73)のみに検出された(図3)。
4.
artABの周辺領域にある5つのオープンリーディングフレーム(ORF)はすべて、ファージ由来のシークエンスに相同性を示し(図1)、また、サザンハイブリダイゼーションにより、artAプローブは約43 kbのファージDNA分画と反応することから、artABは溶原化ファージ上にあることが示唆された(図4)。
成果の活用面・留意点 1.
DT104がADP-ribosyltransferaseを産生している可能性が示唆された。ADP-ribosyltransferaseは種々の病原細菌における毒素として知られていることから、本菌の新たな病原因子として注目される。
2.
artABがDT104に共通して保持されていることから、当該遺伝子のPCR等を用いた検出がDT104のスクリーニング法として応用可能と考えられる。
図表1 225821-1.gif
図表2 225821-2.gif
図表3 225821-3.jpg
図表4 225821-4.jpg
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