心内膜炎原因菌Streptococcus gordoniiの宿主血小板への接着に必要な遺伝子領域の機能

タイトル 心内膜炎原因菌Streptococcus gordoniiの宿主血小板への接着に必要な遺伝子領域の機能
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 Barbara A. Bensing (UCSF)
Paul M. Sullam (UCSF)
関崎 勉
高松大輔
大崎慎人
発行年度 2005
要約  感染性心内膜炎原因菌の宿主血小板への接着に必要な遺伝子領域(gspB-secY2A2領域)に存在する各遺伝子は、その機能により4つのグループに分けることができる。さらに、同様な遺伝子領域はいくつかのグラム陽性の病原細菌の中でも保存されている。
キーワード 感染性心内膜炎、gspB-secY2A2領域、血小板、接着、外来遺伝子領域
背景・ねらい  口腔内レンサ球菌や黄色ブドウ球菌による心内膜炎の発症の最初の重要なステップとして、菌が心内膜の異常部位に付着している血小板に接着するという現象が知られている。
 人の感染性心内膜炎の原因菌の一つであるStreptococcus gordoniiでは、gspB-secY2A2領域と呼ばれる遺伝子領域が、宿主血小板への接着に関与していることが知られていたが、その領域に存在する各遺伝子の機能については、十分な解析がされていない。そこで本研究では、gspB-secY2A2領域の各遺伝子の機能を明らかにするとともに、同様な遺伝子領域が、その他の病原細菌にも存在するか否かを調べる。
成果の内容・特徴 1.
S. gordoniiの宿主血小板への接着に必要なgspB-secY2A2領域に存在する各遺伝子は、その機能により4つのグループ(血小板接着因子GspBをコードする遺伝子、GspBの糖修飾に関与する遺伝子群、GspBの糖修飾と細胞内での溶解性に必須な遺伝子群、GspBの細胞壁への輸送に関与する遺伝子群)に分けられる(図)。
2.
gspB-secY2A2領域に相同性のある遺伝子領域は、S. gordoniiだけでなく、肺炎双球菌(Streptococcus pneumoniae)、B群レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)など、人や動物に病気を起こすいくつかのグラム陽性球菌にも共通して保存されている(図)。
3.
他のグラム陽性球菌に存在するgspB-secY2A2相同領域の中には、トランスポゾンに関連した遺伝子(図中の赤い矢印)やその痕跡(図中の赤い四角)も存在し、肺炎双球菌(S. pneumoniae)では、この遺伝子領域を欠いている株も存在する。これらのことは、gspB-secY2A2相同領域が、他の菌からこれらの菌に獲得された外来遺伝子領域であることを示唆している。
成果の活用面・留意点 1.
gspB-secY2A2相同領域がグラム陽性球菌に幅広く保存されているという事実は、多くの病原細菌が共通のメカニズムで宿主の細胞・組織へ接着している可能性を示唆している。従って、本遺伝子領域が関与する細菌の宿主細胞への接着機構がより詳細に解明されれば、菌を宿主へ接着させないという戦略で、多くの菌種に応用可能な疾病予防法を開発出来る可能性がある。
図表1 225825-1.gif
カテゴリ 輸送

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