飼料および家畜体脂肪におけるポリ塩素化ナフタレンの蓄積

タイトル 飼料および家畜体脂肪におけるポリ塩素化ナフタレンの蓄積
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 キールティ
グルゲ
シリ
宮崎 茂
山中典子
清家伸康(農業環境技術研究所)
発行年度 2005
要約  飼料および豚と鶏の脂肪にはダイオキシン様毒性を有するポリ塩素化ナフタレン同族体が蓄積しており、鶏での生物濃縮係数の程度は豚に比較して高いが、ダイオキシン様毒性全体に占める割合は低い。
キーワード 残留性有機有害物質、ダイオキシン毒性等量、TEQ、飼料、ブタ、ニワトリ
背景・ねらい  ポリ塩素化ナフタレン(PCN)は「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく第1種特定化学物質であり、難燃剤・熱媒体・絶縁物質等の多用途に莫大な量が使用されたが、その有害性が明らかになり、1970年代には生産と使用が禁止された。PCNは75種類の異性体を含み、5(7塩素異性体の一部はダイオキシンやコプラナ-PCBと同様の毒性を持つことが報告されている。しかし、畜産物を通じたヒトへの影響が懸念される家畜の食物網におけるPCNの蓄積実態は明らかでない。そこで、収集した飼料原料、配合飼料、家畜の体脂肪の家畜関連試料についてPCNの蓄積量を測定するとともに、ダイオキシン毒性等量(TEQ)及び生物濃縮係数を算定する。
成果の内容・特徴 1.
PCN同族体61種を高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により検出・定量した。魚粉、肉骨粉、魚油の総PCN含量はそれぞれ1500 (190-3300)、1200 (630-1700) 、490 (460-540) pg/g 脂肪重量である。牛、豚、鶏の配合飼料中総PCN含量は同程度である(98-110 pg/g 脂肪)。鶏脂肪〔雄、6ヶ月齢〕中のPCNの濃度は400 pg/gで、豚脂肪〔雄、7ヶ月齢〕の約2倍である。
2.
配合飼料中4塩素異性体では、飛灰に含まれる33/34/37(同族体番号、以下同様)混合同族体が、PCN製品の中で普通に検出される38/40混合同族体よりも多い。魚油中には5塩素の52/60混合同族体が多量に含まれ、同族体組成は燃焼過程で生成されるものに類似している。魚油で高値を認めた6塩素の66/67は、焼却灰および飛灰由来と考えられる。
3.
すべての飼料原料に、ダイオキシン様活性をもつPCN同族体である38/40、 54、 66/67、 69、 63、 70、 71/72 および 73の蓄積が認められ、これらの同族体が栄養段階の移動により家畜の体に蓄積すること、さらに畜産物を介してヒトに伝達されていることが示唆される。TEQに最も寄与率の高いPCNの同族体は66/67であった。飼料および家畜体脂肪におけるPCNのダイオキシン様毒性に対する寄与率は、ダイオキシン類に比較してきわめて低い(表)。
4.
配合飼料と体脂肪の脂肪重量あたりのPCN同族体量から、生物濃縮係数(BMF)を算定した(図)。ダイオキシン様毒性を有する塩素含量の多いPCN同族体のBMFは、鶏では豚の数倍の値を示す。
成果の活用面・留意点 1.
我が国の畜産環境におけるPCNの汚染実態が明らかになった。今回の結果は環境全体のPCNの毒性影響評価を行う上でも有用な知見となる。
図表1 225827-1.gif
図表2 225827-2.gif
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