人獣共通感染症を媒介する蚊分類データベースの構築

タイトル 人獣共通感染症を媒介する蚊分類データベースの構築
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2005~2006
研究担当者 金平克史
中村義男
白藤浩明
藤沢敏夫
寺田 裕
神尾次彦 
発行年度 2006
要約  わが国の畜産現場で応用できる蚊分類のためのWebデータベースを構築した。本データベースは、ウエストナイルウイルス等のサーベイランスにおいて各都道府県家畜衛生部局での蚊の分類に用いられる。
キーワード 蚊、ウエストナイルウイルス、サーベイランス、ウマ、人獣共通感染症
背景・ねらい  ウエストナイルウイルス感染症は、北米において猛威をふるっており1999~2006年には人で約20,000人が発症、その内900人以上が犠牲になった。また、同期間に家畜衛生分野においても約25,000頭もの馬で本症の発症が確認され、多くが死亡あるいは予後不良による安楽殺の転帰をたどっている。さらに2005年にはロシア極東地方でウイルスが検出され、日本への輸入感染患者の報告もあったことから、日本へのウイルス侵入の危険性が高まっている。これらの状況から本症は公衆衛生上、家畜衛生上の重大な問題となっており、畜産現場は蚊の発生源として重要視されているため、安全・安心な畜産業の維持・発展のためには、蚊を対象としたサーベイランスが重要である。このような状況を踏まえて2003年度以来、家畜衛生行政において「ウエストナイルウイルス感染症等予防・防疫対策推進事業」が実施されており、その中で蚊、死亡野鳥、馬での本ウイルスのサーベイランスが行なわれている。蚊は種によってウイルス感受性が異なることから、種を分類した上でウイルス検出を行なっており、本課題は蚊の種を分類する上で参考となる画像データベースを構築することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 採集した蚊を蚊以外の昆虫と分別することが困難との指摘にこたえ、蚊とそれ以外の昆虫を識別する方法を掲載している(図1)。
  2. 実験室内飼育蚊および野外で採集した蚊を用いて、分類に必須な部位の写真を掲載し、種検索を容易にしている(図2)。
  3. ウエストナイルウイルスを媒介する可能性が高い種については、蚊の説明と写真をまとめたページを掲載している(図3)。
  4. Webベースのデータベースであり、必要に応じて更新が可能となっている。
成果の活用面・留意点
  1. 実施中のウエストナイルウイルスのサーベイランスのみならず、わが国に常在する日本脳炎ウイルスなど蚊媒介性ウイルス病のサーベイランスにおいても利用可能である。
  2. 地球温暖化による蚊の生息域の拡大とそれに伴う未知の人獣共通フラビウイルスの出現に備えるため、本情報等を用いた蚊のサーベイランスを継続していく必要がある。
  3. サーベイランスを実施する行政部局に本データベースの存在を周知し、有効利用を図る必要がある。また、利用者の要望にこたえて、情報の更新を行なう必要がある。
図表1 225839-1.jpg
図表2 225839-2.jpg
図表3 225839-3.jpg
カテゴリ 飼育技術 データベース

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