繋ぎ飼いの酪農家における乳房炎の疫学的調査及び経済損失評価

タイトル 繋ぎ飼いの酪農家における乳房炎の疫学的調査及び経済損失評価
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 山根逸郎
小林創太
発行年度 2006
要約  バルク乳の体細胞数に影響を与える要因は、ポストディッピングや過搾乳のチェック、牛床の乾燥度などであった。乳房炎による経済的な損失は、酪農家1軒あたり149万円、北海道全域で100億円と推定される。
キーワード 乳房炎、疫学調査、経済評価、体細胞数
背景・ねらい  酪農現場における牛群の潜在性乳房炎の指標として用いられる体細胞数は、不適切な搾乳衛生や飼養管理方法により増加すると言われている。そこで北海道および本州5県の繋ぎ飼いの酪農家(以下酪農家)から得られた疫学データ(n=109)より、酪農家の搾乳衛生や飼養管理方法などとバルク乳の体細胞数との関係について解析する。
 また乳房炎は非常に経済的な損失が大きいと言われているが、実際に臨床現場での乳房炎発生数を元にした経済損失額の推定の報告はほとんどない。そこで今回、北海道の酪農家(n=80)を対象に、6ヶ月間観察したコホート調査の結果などを活用し、北海道全域における酪農家の乳房炎による経済損失の試算を行う。
成果の内容・特徴
  1. ポストディッピングや過搾乳のチェックを十分やっている、また牛床の乾燥部位が広い農家ほど、バルク乳の体細胞数が有意に低かった(図1)。したがってこれらの飼養管理を徹底することにより、体細胞数を減少させることが可能である。
  2. バルク乳の体細胞数15万個/ml以上の酪農家において、体細胞数と平均乳量の間に有意な負の相関が認められ(相関係数 -0.225, p=0.039)、体細胞数1万個/mlの増加に対し、搾乳牛一頭当たり平均年間乳量30.1kgの減少を推定した。したがって体細胞数を下げる飼養管理を徹底していく事により、農家に乳量の増加をもたらすことになる。
  3. 対象酪農家では、6ヶ月間に乳房炎により総計5,970万円の損失が推定された(表1)。したがって酪農家一軒当たりの乳房炎による年間の経済損失は、5,970万円 × 2 (1年間) ÷ 80 = 149万円 と推定した。さらに2005年の北海道の繋ぎ飼いの酪農家数は6,703軒であるので、北海道全域の繋ぎ飼い酪農家における乳房炎による損失は、 149万円 × 6,703軒 ≒ 100億円 と推定した。
成果の活用面・留意点
  1. 体細胞数を低減させるための搾乳衛生や飼養管理項目は各種の報告があるが、今回の調査により、統計学的に有意にバルク乳の体細胞数を低く抑える項目を明らかにした。
  2. 乳房炎による経済的な損失の大きさを公表することにより、酪農家の乳房炎対策への意識を向上させることが可能となる。
図表1 225863-1.gif
図表2 225863-2.gif
カテゴリ 乾燥 飼育技術 乳牛

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