新型牛パピローマウイルス(BPV-9, BPV-10)の全ゲノム構造の解明

タイトル 新型牛パピローマウイルス(BPV-9, BPV-10)の全ゲノム構造の解明
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2006~2007
研究担当者 芝原友幸
信本聖子(北海道十勝家保)
菅野徹
石原涼子
前田友起子(北海道石狩家保)
長内利佳(宮城県登米家保)
内田郁夫
畠間真一
門田耕一
和田好洋(北海道網走家保)
発行年度 2007
要約  北海道から関東地方にかけて集団発生した牛乳頭腫症の原因と考えられる2種類の牛パピローマウイルス(BPV)の全ゲノム構造を解析したところ、いずれもグザイパピローマウイルス属の新型BPV(BPV-9、BPV-10)に分類される。
キーワード BPV-9、BPV-10、乳頭腫症、牛パピローマウイルス、ゲノム解析
背景・ねらい  牛パピローマウイルス(BPV)は、現在1~8型が報告されており、この内1~6型は、牛の体表皮膚や粘膜に感染して乳頭腫症を引き起こす。近年、北海道、東北、関東地方の牧場で集団発生した牛乳頭腫症は、乳頭部に激しい腫瘍病変を形成するために搾乳を障害し、酪農の阻害要因となっている。この原因として2種類の新型BPVの関与が示唆されているが(平成17年度動物衛生研究成果情報)、ウイルスの詳細な遺伝学的解析は行われていない。本研究は、集団発生事例の乳頭腫病変からBPVを分離し、そのゲノム構造を解明することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 北海道の乳頭腫集団発生事例より採取した乳頭腫病変部から2種類のBPV遺伝子を分離し、7303塩基対(bp)および7399 bpの全ゲノム塩基配列を決定した。
  2. 両ウイルスゲノムは、初期遺伝子(E)領、後期遺伝子(L)および転写調節領域(LCR)から構成され、また、タンパク質をコードするすべての遺伝子が同一鎖(センス鎖)に偏在するなど、パピローマウイルス科に共通した特徴的な構造を有している(図)。
  3. 主要な外殻タンパク質の遺伝子は既知のBPVに対して57.2~74.2%および56.5~71.2%の相同性を示すにとどまることから新型BPVと定義され、塩基配列を基にした分子系統樹解析によりグザイパピローマウイルス属に分類される。
  4. 両ウィルスは、それぞれBPV-9およびBPV-10と命名される。
成果の活用面・留意点
  1. グザイパピローマウイルス属に2種類の新型ウイルスが加わり、新たなパピローマウイルスの分類体系が構築される。
  2. 新型BPVのゲノム構造が全て明らかになったことで、BPVの遺伝子診断技術の発展が期待される。
図表1 225880-1.gif
カテゴリ 診断技術 乳牛

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