シアル酸除去による妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)の血中半減期の短縮

タイトル シアル酸除去による妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)の血中半減期の短縮
担当機関 畜産試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)の糖鎖末端に付属するシアル酸の生理的な役割を調べる目的で,シアル酸を除去したPMSGの生物活性について検討した。その結果,シアル酸除去によりPMSGの血中半減期は極端に短縮し,生理活性をほとんど示さなくなった。シアル酸はレセプターとの結合及び腎臓での排泄には関与しておらず,肝細胞によるPMSGの捕捉を妨げ,結果的にPMSGの血中での持続時間を延長することがわかった。
背景・ねらい PMSGは、生物学的製剤として繁殖障害の治療や過剰排卵誘起等に利用されており、
畜産領域におけるその応用価値は高い。一方、糖蛋白質は、糖鎖の構造が複雑になり、末
端のシアル酸の数が増えると血中での安定性が増すことが知られている。PMSGの糖含
量は、他の性腺刺激ホルモンと比較して極端に多く、その糟鎖構造は複雑で、血液中での
半減期も長い。半減期の長さは、治療の簡略化や黄体刺激などに関して有利な点も多いが、
繁殖障害治療時の卵胞嚢腫化や過剰排卵時の残存卵胞数の増加など間題となる面もある。
そこで、PMSGから糟鎖末端に付属するシアル酸を除去することにより、その血中半減
期を調節できるかどうか検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. シアル酸を除去した1,000単位相当のPMSGを牛の臀部筋肉内に投与しても、
    明瞭な黄体及び卵胞刺激作用は現われなかった。
  2. シアル酸を除去したPMSGを牛の頚静脈内に投与した時の血中半減期は約80秒
    で、天然型の半減期(1週間)と比較して極端に短縮した(図1)及び(図2)。しかし、PMSGからシアル酸を除去しても尿中にはほとんど排泄されなかった。
  3. 天然型とシアル酸を除去したPMSGについて、肝細胞を用いたレセプターアッセ
    イを行ったところ、天然型PMSGがほとんど肝細胞と結合しなかったのに対し、シ
    アル酸を除去したPMSGは特異的な高い親和性を示した(図3)及び(図4)。
  4. PMSGからシアル酸を除去しても性腺のLH及びFSHレセプターとの親和性に
    は差が認められなかった。
    これらのことから、PMSGに付属する糖鎖末端のシアル酸は、肝細胞による捕捉を妨げ、結果的にPMSGの代謝速度を調節していることが分かった。一方、シアル酸を除去しても標的細胞のレセプターとの親和性は変化せず、ホルモンの活性が維持されていることも分かった。
成果の活用面・留意点
  1. 性腺刺激ホルモンを生物学的製剤として利用する場合、その糖鎖構造、特に糖鎖末端のシアル酸の付着状態を変化させることにより、代謝速度を調節できる可能性が示された。
図表1 226013-1.jpg
図表2 226013-2.jpg
図表3 226013-3.jpg
図表4 226013-4.jpg
カテゴリ 繁殖性改善

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