β-ラクトグロブリン部分ペプチドの経口投与による、マウスにおける免疫寛容の誘導

タイトル β-ラクトグロブリン部分ペプチドの経口投与による、マウスにおける免疫寛容の誘導
担当機関 畜産試験場
研究期間 1993~1998
研究担当者
発行年度 1996
要約 マウスに牛乳β-ラクトグロブリンのT細胞認識エピトープに相当する部分ペプチドを投与することにより、経口免疫寛容現象を引き起こし、β-ラクトグロブリンに対する免疫応答を抑制することができた。とくに、139-154残基目に相当するペプチドは顕著な免疫応答抑制効果を示した。
背景・ねらい 食物は、本来ヒトにとって異物であっても、生体に傷書を与える免疫反応は通常引き起こさない。それは消化管に経口免疫寛容機構があり、過度の免疫反応か抑制されているためと考えられている。しかし、食物アレルギーの場合には、十分その機能が働かないと推測され、アレルゲンにさらすことなくアレルゲンに対する免疫寛容を誘導できれば、最も優れたアレルギーの予防法となると思われる。そこで 本研究では、マウス実験系で、これまで明らかにしてきた牛乳β-ラクトグロブリンの主要T細胞認識エピトープ領域に相当する3種の部分ペプチドを経口投与し、その中からもとのタンパク質であるβ-ラクトグロブリンに対する免疫応答を抑制するペプチドを検索することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. β-ラクトグロブリンの42-56、62-76及び139-154残基目に相当する主要T細胞認識領域ペブチドは、β-ラクトグロブリン免疫に先立つ経口投与により、いずれも顕著にβ-ラクトグロブリンに対するT細胞増殖応答を抑制した(図1)。
  2. β-ラクトグロブリンの139-154残基目に相当する主要T細胞認識領域ペプチドは、β-ラクトグロブリン免疫に先立つ経口投与により、β-ラクトグロブリンに対する抗体産生応答を顕著に抑制した(図2)。このとき、産生抗体のサブクラス分析結果(表1)によれば、ヘルパーT細胞はTh1、Th2タイプともに抑制されていると推定された。
  3. 以上のことから、β-ラクトグロブリンの139-154残基目に相当する部分ぺプチドは、経口投与により、β-ラクトグロブリンに対する免疫寛容を有効に誘導できることが明らかになった。
成果の活用面・留意点 T細胞認識エピトープペプチドを経口投与することにより、もとのタンパク質に対する免疫応答を顕著に抑制できることを示した。従って、この技術はヒト食物アレルギーの予防・治療にも応用可能である。ただし、β-ラクトグロブリンをはじめとして、各種食物アレルゲンタンパク質について、患者認識T細胞エピトープを解明することが今後の問題として残されている。また、他のアレルゲンやヒトでの応用を考えるとき、一つのタンパク質に複数ある主要T細胞認識エピトープペプチドが、本研究のように同等な効果を示すとは限らないこと、ペブチドの組み合わせによる協同・相乗作用の可能性や、効果的な投与量にも留意する必要がある。
図表1 226028-1.jpg
図表2 226028-2.jpg
図表3 226028-3.jpg
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