異種ミトコンドリアをもつ近交系マウス間で認められた表現形質の差

タイトル 異種ミトコンドリアをもつ近交系マウス間で認められた表現形質の差
担当機関 畜産試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 近交系マウス(B6)とそれと同一の核ゲノムを持ちミトコンドリアが異なるコンジェニックマウス(B6-mtSpr)間で、体重、運動性あるいは旺発生等の表現形質に対するミトコンドリアの影響について検討した。いずれの形質においても両系統マウス間で有意な差が認められ、この差は異なったミトコンドリアが関与していることが示唆された。
背景・ねらい これまで、個体の表現形質を支配しているのは核内のゲノムにあるとする考え方が一般
的であり、多くの場合この原則があてはまる。しかし、ミトコンドリア内にも固有のゲノ
ムがあり、その遺伝子発現は核ゲノムによって調節されていることから、核とミトコンド
リア間である種の相互作用があり、それが細胞のエネルギー生産のみならず、結果として
個体の表現形質に影響を及ぼす可能性がある。そこで近年確立されたミトコンドリアコン
ジェニックマウスを用いて、核ゲノムは同一でありながらミトコンドリア(mt)が異なる
近交系マウスとの間で胚発生、成長、運動能力などの表現形質に及ぼす異種ミトコンドリ
アの影響について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 本研究では、近交系マウスとしてC57BL/6j(B6) (mtタイプ=Mm.domesticus)
    およびミトコンドリアコンジェニックマウスとしてM.spretusマウス(mtタイプ=m.sp-
    retus)雌にB6雄を20代以上戻し交配させて樹立した系統(B6-mtsprを用いた。
  2. それぞれの系統のマウス(3~15週齢)について、成長性(体重)および運動性について検討した。9週齢以前の体重には有意な差は認められなかったが、それ以降はコンジェエック系統(B6-mtspr)のマウスの体重は近交系マウス(B6)に優っていた(図1)。これとは逆に、運動性では(10および15週齢)B6がB6-mtsprに比べて有意に高かった(図2)。
  3. それぞれの系統の3~4週齢幼若雌マウスに過剰排卵処理後交配し、交配2日後の回収胚を体外で培養し、胚盤胞期までの膝発生速度および発生率、さらに胚発生における培養時の酸素濃度の影響について検討したところ、体外での胚発生能はB6マウス由来の胚が高率に発生するのに対し、B6-mtSpr由来の胚は発生速度が低下するとともに、胚発生率の低下が認められた。しかし、この胚発生低下は培養中の酸素濃度を低下させることによって可逆的に代償された(表1)。
  4. 以上のことから、B6由来の核ゲノムを持つマウスではミトコンドリアゲノムの違いにより、細胞レベルおよび個体レベルで表現形質に差が生じることが明らかになった。
成果の活用面・留意点
  1. 核とミトコンドリアとの相互関係を解明するためのモデル実験系として利用できる。
  2. クローン家畜において、未受精卵由来のミトコンドリアと表現形質との関連に留意する必要がある。
図表1 226044-1.jpg
図表2 226044-2.jpg
図表3 226044-3.jpg
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