イネ・カルス増殖能のヘテロシスと遺伝解析

タイトル イネ・カルス増殖能のヘテロシスと遺伝解析
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  イネF1種子由来カルスの増殖能は超優性的に発現し、両親よりも細胞分裂活性が増加する。この細胞レベルでの増殖能の特定組合せ能力(SCA)は、日本型×インド型で高く、日本型×日本型で低い特徴があり、植物体レベルでの生長量のSCA及びヘテロシスの発現傾向とほぼ一致する。
背景・ねらい  農業利用上最も重要な形質発現現象であるヘテロシスについては、いくつかの発現仮説が提案されているが、分子・細胞遺伝学的な立証が不十分であり、今なお未解明な研究課題である。細胞レベルでのヘテロシス発現機構の解明を目的に、イネを材料とし各生態型に属する合計14品種及びそれらを片面ダイアレル交配したF1種子からカルスを誘導し、カルス重量の増加倍率を求めて細胞分裂回数と細胞周期を推定する。これら増殖能におけるヘテロシスと遺伝成分の特徴を解明し、植物体レベルでの生長量との関連を調べるとともに、増殖能の発現に及ぼす温度の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1.  培養4週間後のカルス重量の増加倍率は、28℃で最も高く、40℃で増殖を停止する(表1)。
  2.  増加倍率の実測値(G1)理論値(G2=2D、Dは細胞分裂回数)の経時的変化に有意差が認められないことから、細胞増殖の理論式を用いて実測値G1から細胞分裂回数を推定できる。
  3.  細胞分裂回数は、全温度区で相加的遺伝分散よりも優性遺伝分散が顕著に多く、平均優性度も1.69以上を示し、超優性的に発現する(表2)。
  4.  細胞分裂回数の一般組合せ能力(GCA)は、20~35℃の範囲では日本及び中国で育成された品種が共通的に低く、インド産品種は高い傾向がある。一方、特定組合せ能力(SCA)は、生態型間の組合せでは28℃で、日×印>日×ジャワ、ジャワ×印>ジャワ×ジャワ>印×印>日×日の順で発現する。これらSCAの発現傾向は、Katoら(1994)によって得られた同一供試組合せのイネ植物体の生長量におけるSCA及びヘテロシスの発現傾向とほぼ一致する(表3)。
  5.  細胞周期は細胞分裂回数とは負の関係を示し、F1では両親よりも周期が短縮する。
  6.  これらの細胞分裂回数及び細胞周期の遺伝解析は、本研究が初めての試みである。
成果の活用面・留意点  カルス増殖能で認められた組合せ能力は、植物体の生長量の組合せ能力とほぼ同一傾向を示したことから、ヘテロシス育種を目的としたin vitro育種法の一つとして活用が期待される。検定に供するカルスは、誘導後1~2回継代したものが良い。
図表1 226144-1.gif
図表2 226144-2.gif
図表3 226144-3.gif
カテゴリ 育種 品種

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