沿岸定線観測を用いた海況の長期変動の抽出

タイトル 沿岸定線観測を用いた海況の長期変動の抽出
担当機関 中央水産研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 小松幸生
川崎清
友定彰
廣江豊
発行年度 2000
要約 沿岸定線の表面水温から各県地先の年変動の抽出をおこなった。また年変動を除いた後の時系列から海域に特徴な水温変化パターンとして、大気からの加熱・冷却、黒潮流軸の変動、潮岬での黒潮の離岸に相当するものを見出した。
背景・ねらい わが国で魚海況予報事業が開始されたのは昭和39年で、すでに35年を経過している。その間に沿岸定線等で取得されているデータは、膨大な量であり、沿岸域の長期変動の様子を知る上では非常に有用である。しかしながら、海洋観測は天候や人為的な問題などで等時間間隔に取得することは困難である。そのため、同じ月の観測で同じ水温としても月初めに行ったものか月末に行ったのかでは意味合いが異なってくる。そこでこれらの観測データを解析する手法を開発した。
成果の内容・特徴 1963年から1997年にかけての旧東海ブロック及び周辺海域の観測の多い9点の表面水温について解析を行った。
  1. 年変化の抽出:
    表面水温は年変化が激しいため、そのまま統計処理するためには難がある。そこで、もともとの時系列から、最小自乗法により平均・年変動・半年変動・1/3変動を抽出した。年変動については伊良子岬近傍の海域以外では振幅は5度程度で同じであるが(表1)、位相については和歌山沖から東京湾入り口まではほぼ同じで、犬吠近傍及び大洗沖の2点に比べ1週間ほど位相が進んでいる。半年変動、1/3年変動は最大で0.58度で年変動の1割程度にしかならない大きさである。位相については、半年変動についてはあまりはっきりしないが熊野灘~駿河湾ではその両側の海域に比べ3週間ほど遅れている。1/3年については逆に熊野灘~駿河湾ではその両側の海域に比べ2週間ほど進んでおり、伊豆諸島の東北の測点では北に行くにつれ位相が遅くなっている。
  2. 同相的変動の抽出:
    変動特性がどの程度の空間的な広がりを持っているか、またその変動はどのようなパターンをしているかは海況変動を知る上で重要であるので、年変動を取り除いた後最適内挿法により1ヶ月毎の水温値に直した後、経験的直行関数により解析をおこなった。もっともエネルギーレベルの高い第1モードは全海域で同様の変動をしており、地上気温とよく似た変動をしている(表2、図)。第2モードは野島崎より東と西で振幅が逆になっており、黒潮の蛇行位置の変動に対応している。第3モードは潮岬での黒潮の離岸に相当している。
成果の活用面・留意点 本手法で得られた結果は、漁況と照らし合わせて利用すれば漁場形成の類型化が可能であろう。また、どの測点で観測すれば代表制が保てるかが明らかになるので沿岸定線の見直しに利用できる。解析はあくまでも統計解析であるため、変動機構を解明する上では注意が必要である。
図表1 229175-1.gif
図表2 229175-2.gif
図表3 229175-3.gif
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