イネ病斑形成抑制遺伝子Spl7

タイトル イネ病斑形成抑制遺伝子Spl7
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 ゲノム複製研)山内歌子(農林水産先端技術研究所)
矢野昌裕(分子遺伝部
発行年度 2000
要約 第5染色体上に存在するイネの病斑形成抑制遺伝子 Spl7を遺伝地図情報を利用して単離した。Spl7遺伝子は459 アミノ酸からなる蛋白質をコードし、その蛋白質は熱ショックタンパクの転写因子(hsf)と高い類似性を示した。Spl7遺伝子は生育が進むに従ってその発現が増加するとともに、高温による発現誘導が認められた。
背景・ねらい  イネの病斑葉突然変異spl7はイネの第5染色体上に存在する単一の劣性遺伝子によって生じることが明らかとなっていた。突然変異体に生じる病斑は高温や強い光で誘導されることが知られていたが、分子レベルでの病斑形成機構は不明であった。本研究では、spl7遺伝子座の野生型遺伝子(病斑形成抑制遺伝子)を遺伝地図情報を利用して単離・同定し、その構造を明らかにするとともに熱や光ストレス耐性に関する基礎知見を得ることを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. Spl7領域の高精度連鎖地図を作成し、その領域の酵母人工染色体(YAC)およびP1由来人工染色体(PAC)クローンの整列化を行って、Spl7遺伝子候補ゲノム領域を約3kbに絞り込んだ(図1)。
  2. 候補ゲノム領域に見いだされた遺伝子を形質転換法によりspl7突然変異系統KL210に導入して、その病斑形成が抑制されることを確認して、Spl7遺伝子を同定した(図2)。
  3. Spl7遺伝子は459アミノ酸からなる蛋白質をコードし、その蛋白質は熱ショックタンパクの転写因子と高い類似性を示した。
  4. Spl7遺伝子は生育が進むに従ってその発現が増加し、高温処理によってその発現が誘導された。
成果の活用面・留意点 Spl7遺伝子は熱ショックタンパクの転写調節に関わり、イネの高温ストレスによる葉細胞の障害を回避する役割を果たしていると考えられる。したがって、単離されたSpl7遺伝子は高温ストレス耐性機構の解明に有用である。
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