全齢人工飼料育蚕における繭糸質低下の原因

タイトル 全齢人工飼料育蚕における繭糸質低下の原因
担当機関 昆虫生産工学研究グループ
研究期間 1999~2001
研究担当者 鮎沢弘子
岡島輝雄
志村幸子
小池文江
中島健一
立石剣
発行年度 2001
要約 全齢人工飼料育蚕と桑葉育蚕の繭糸繊度、繭糸形態および吐糸管の形態を比較した結果、繭糸繊度が細い原因は吐糸管形態ではなく液状絹の水分率等に起因する繭糸合成の違いによること、繭糸断面の形態が解じょ率に影響することがわかり、品種育成にあたっては繭糸の形態による選抜も重要であることが示された。
キーワード 全齢人工飼料育、繭糸繊度、繭糸形態、吐糸管形態
背景・ねらい 全齢人工飼料育蚕の繭は桑葉育繭に比べ繭糸成績および繰糸成績が劣るが、その原因は必ずしも明らかにされていない。そこで、繰糸成績を左右する解じょ率と関係のある繭糸繊度、繭糸形態及びこれらに影響を及ぼす吐糸管形態や液状絹の水分率などを比較した。
成果の内容・特徴
  • 人工飼料育用細繊度品種として育成中のTN32×TC60と、桑葉育用実用品種のN124×C124を比較したところ、両品種とも全齢人工飼料育蚕の繭糸繊度は有意に細かった。また、N124×C124の人工飼料育では全体的に繊度が低下したが(図1)、TN32×TC60では外層から450m付近から著しく繊度が低下し、桑葉育に比べ早い段階で繰糸不能となった(図1)。
  • 繭糸形態は、N124×C124では飼料による違いは小さかったが、TN32×TC60では人工飼料育により異状な繭糸が多くなり(図2)、扁平な繭糸形態が顕著になった。(図3)。扁平な繭糸形状により営繭時に繭糸同士が接着しやすいことが低い解じょ率の原因であると考えられた。さらに、TN32×TC60の全齢人工飼料育の糸は分子配向性が低く、これが糸の切れやすい原因であると考えられた。
  • 吐糸管形態については、両品種とも全齢人工飼料育蚕に一部奇形が認められたが、繭糸を形成する圧糸部の形態に差は認められなかった。
  • 全齢人工飼料育蚕の前・中部絹糸腺の水分率は桑葉育蚕に比べ有意に高かった。セリシンの乾燥凝固による繊維化が遅れ、糸同士が接着することで解じょ率が低下すると考えられた。
  • 繭糸形態および飼料による繭糸形態および繭質への影響は品種による差が見られることから、全齢人工飼料育を目的とした品種育成のためには、人工飼料適合性だけでなく糸形態による選抜や既存の品種の再利用が重要である。
  • 成果の活用面・留意点
      全齢人工飼料育蚕品種育成の目安として、繭糸形態が重要である。
    カテゴリ 乾燥 品種

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