イネ染色体部分置換系統群の作出と有用形質の遺伝解析への利用

タイトル イネ染色体部分置換系統群の作出と有用形質の遺伝解析への利用
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 井澤毅
山本伸一
上田忠正
矢野昌裕
蛯谷武志(現富山農技センター)
発行年度 2001
要約 コシヒカリの遺伝的背景にインド型品種Kasalathの染色体部分断片を置換した系統群を作出した。各系統においては1カ所の染色体領域ができるだけ大きく置換されている。置換染色体断片を系統間で重複させることによって、39系統ゲノム全体に対応できる。これらの系統を用いて出穂期に関与する量的形質遺伝子座を同定した。
背景・ねらい イネの育種場有用な形質の遺伝解析あるいはDNAマーカー支援による選抜育種を進めるためには、多様なイネ遺伝資源が保持する有用遺伝子を同定する必要がある。このためには、遺伝解析を実行可能にするための実験系統群が不可欠である。本研究では、水稲の優良品種であるコシヒカリのゲノムに、インド型品種Kasalathの染色体断片を部分的に置換した、系統群を作出し、イネの量的形質遺伝子座の解析を促進することを目的とした。
成果の内容・特徴
  • 戻し交雑後代(BC3F3およびBC4F2)からRFLP およびCAPSマーカーの遺伝子型を指標としてSLs を選抜した。イネ日本型品種コシヒカリの遺伝的背景に、インド型品種Kasalathの染色体断片を部分的に置換した系統を作出した。系統群は39系統からなり、目標領域以外にKasalathホモ型断片が置換された系統が1系統含まれる(図1)。
  • 各系統の置換染色体領域の割合は、対象染色体に対して12~100%である。また各系統のゲノム全体に対する置換領域の割合は1%~9%である。
  • 作出した系統群を利用して出穂期に関与する量的形質遺伝子座のマッピングを試みたところ、第1、第5および第9染色体を除く、9種類の染色体上に出穂期に関与する遺伝子座(14領域)の存在が推定された(図1および図2)。
  • 成果の活用面・留意点
    1. 作出した系統群はKasalathが保持する有用遺伝子(量的形質遺伝子座)の染色体場上の位置を決定するための実験系統群として活用できる。
    2. 遺伝的背景はコシヒカリに置換されているので、有用遺伝子を見いだした場合、直ちに準同質遺伝子系統の選抜が可能となる。
    3. 置換系統はマップベースクローニングのための分離集団作出において、親系統として利用価値が高い。また見いだした量的形質遺伝子座の単離にも利用できる。
    カテゴリ 育種 遺伝資源 DNAマーカー 品種

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