光化学系2の機能発現に関わるタンパク質分解酵素CtpAの触媒機構の解明

タイトル 光化学系2の機能発現に関わるタンパク質分解酵素CtpAの触媒機構の解明
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 Himadri B. Pakrasi
Radhashree Maitra
稲垣言要
佐藤公行
山本由弥子
発行年度 2001
要約 光合成・光化学系2の主要成分であるD1タンパク質は前駆体として合成され、特異的なタンパク質分解酵素によって切断を受けて成熟化する。この過程に関わるタンパク質分解酵素CtpAについて解析を行い、本酵素の触媒機構を明らかにした。
背景・ねらい 近年、タンパク質分解反応が環境応答などの高次の生命現象の制御に深く関わっていることが明らかにされた。光合成の機能制御においても、タンパク質分解反応とそれに関わる分解酵素が重要であることは容易に想像できる。今回、光合成・光化学系2の酸素発生系の構築に密接に関わるD1タンパク質前駆体切断酵素CtpAについて、分子生物学的、生化学的手法を用いて触媒機構の解析を試みた。これらの解析を通じて本酵素の諸性質を明らかにし、本酵素を用いた光合成機能制御技術の基盤を築く目的で本研究は行われた。
成果の内容・特徴
  • D1タンパク質前駆体切断酵素CtpAの触媒機構を解析するための部位特異的突然変異株の作出系を、シアノバクテリアを用いて構築した(図1)。
  • 各種生物のCtpA酵素の配列に保存されているアミノ酸残基をアラニンに置換した変異株を作出し、独立栄養生長能等の酵素活性の指標となる表現型を解析したところ、5残基(D253, R255, S313, E316, K338)が生体内における酵素活性発現に必須であることが明らかになった(表1)。
  • これら5残基を類縁アミノ酸残基に置換して酵素活性等を見積もったところ、本酵素がセリン残基(Ser313)とリジン残基(Lys338)の対を触媒中心とする新しいセリン型タンパク質分解酵素の一種であることが明らかになった(表2、図2)。
  • 残りの3残基(D253, R255, E316)は、触媒中心の構造の安定化に寄与していると推定された(表2、図2)。
  • 成果の活用面・留意点
    1. D1タンパク質前駆体の切断は光合成の機能発現に密接に関係する。本酵素の分子生物学的改変によって作出されたシアノバクテリア変異株のさらなる解析によって、光合成機能発現の分子機構が明らかにできると期待される。
    2. 本酵素は極めて高い基質特異性を持つことが知られていることから、ペプチド性機能性分子の生産等の産業での利用も可能であると考えられる。本研究における酵素CtpAの触媒機構などの諸性質に関する知見は、本酵素の産業利用の際に有用な情報を与える。
    カテゴリ 機能性

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