アラビドプシスALS遺伝子の遺伝子ターゲッティング技術の開発

タイトル アラビドプシスALS遺伝子の遺伝子ターゲッティング技術の開発
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 1998~2002
研究担当者 遠藤真咲
刑部敬史
市川裕章
土岐精一
野村美子
発行年度 2002
要約 除草剤イマザピルに対して耐性型であり、かつタンパク質のN末をコードしないアラビドプシスアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子を作成し、アラビドプシスに形質転換処理を行った。その結果内生の除草剤感受性型ALS遺伝子を耐性型に置換する事に成功した。本研究により高等植物において遺伝子ターゲッティング技術によりゲノムの特定の塩基配列を置換できる事が明らかとなった。
キーワード 遺伝子ターゲッティング、遺伝子置換、アセト乳酸合成酵素遺伝子、除草剤抵抗性、アミノ酸置換
背景・ねらい 高等植物において遺伝子ターゲッティング技術が開発されれば、特定の遺伝子を任意に破壊したり改変したりする事が可能になり、その波及効果は極めて大きい。しかしながらこれまでは再現性のある報告例がなかった。そこでアラビドプシスを材料に遺伝子ターゲッティングのモデル系を構築する事を試みた(図1)。
成果の内容・特徴
  1. アラビドプシスよりALS遺伝子を含むゲノムDNA約6.6kbをクローン化しさらに除草剤イマザピルに対して耐性型になるように2塩基の連続変異を導入した。またこの改変遺伝子(6.6R)をin planta法によりアラビドプシスに形質転換したところ、自殖種子の0.5%が除草剤耐性を示した。
  2. 6.6RよりALS遺伝子プロモーター領域2kbを欠失させた遺伝子(4.4R)を作出し形質転換を行ったところ、6.6Rを導入した際の約1/10の効率で除草剤耐性植物が作出され、これらは遺伝子トラップによって作出されたと考えられた。
  3. 4.4RよりさらにALSのタンパク質N末をコードする部分を欠失させた遺伝子(4.0R)を作出し形質転換を行ったところ、6.6Rを導入した際の約1/3000の効率で除草剤耐性植物が作出された。得られた植物体は塩基配列レベルでの解析より遺伝子ターゲッティングによって生じた事が明らかとなった。
成果の活用面・留意点
  1. モデル系が構築できたので、これをベースに遺伝子ターゲッティング効率を向上させる研究を行う事が可能となった。最終目標は有用作物での効率の良い遺伝子ターゲッティング系の開発を行う事である。
  2. 特定の遺伝子を破壊した植物体は遺伝子ターゲッティング以外の手法でも得られるが、特定の遺伝子の塩基配列を任意に置換する技術を開発することは、今後の基礎植物学の発展と、分子生物学的手法による植物育種技術の発展に不可欠である。
カテゴリ 病害虫 育種 除草剤 抵抗性

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