培養系改良によるコムギの形質転換

タイトル 培養系改良によるコムギの形質転換
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 1998~2002
研究担当者 田部井豊
萩尾高志
発行年度 2002
要約 形質転換体作出を目的として、組織培養系を改良した。morphogenic(形態形成的)なカルスを誘導して、再分化率を10-30%程度向上させ、さらに改良した培養系において、培養特性が良好な系統を選抜した。またパーティクルガンによる遺伝子導入も行った。
キーワード コムギ、組織培養、形態形成、パーティクルガン、遺伝子導入
背景・ねらい コムギは世界の主要食用作物の一つで、1992年にはVasilらが種子稔性のある形質転換植物体作出を報告している。しかし難培養性作物の一つとして知られるコムギについて、我が国では種子稔性のある形質転換植物体作出の報告が無く、安定した形質転換系の開発が急がれている。本研究では形質転換体作出を目的として組織培養系の改良を行い、さらに培養特性が良好な系統を選抜し、遺伝子導入を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 組織培養や遺伝子導入に用いた材料としては開花後約2週目のコムギ未熟胚を用いた。
  2. 従来の方法ではembryogenic (胚形成的)なカルスを誘導して、再分化を目指したが、改良した方法ではmorphogenic(形態形成的) なカルスを誘導して、再分化率を10-30%程度向上させた。従来の方法(Machii et al. 1998)では、カルス誘導培地のホルモン組成は2mg/l 2,4-D + 0.25mg/l ABAで、再分化培地のホルモン組成は0.1mg/l BAPであった。改良した方法ではカルス誘導培地のホルモン組成は2mg/l 2,4-D + 0.1mg/l BAPで、再分化培地はホルモンフリーである。コムギについてmorphogenic(形態形成的)なカルスを誘導するためには、カルス誘導時にオーキシンと共にサイトカイニン類を加えることと、再分化培地へのサイトカイニン類を添加しないことが重要であると認められた(図1)。
  3. 改良した培養系で実用品種の培養特性を調べたところ、農林67号、農林40号、農林35号などの植物体再分化率が高かった。また主要品種の一つでありながら、従来の培養系では再分化が見られなかった農林61号についても、改良した培養系では約8%の再分化率であった。
  4. 農林67号と農林61号については、再分化した植物体を育成して(R0世代)、自家受粉させ次世代の個体(R1世代)を育成した。R1世代由来の未熟胚を培養するとR0由来のものと比べ再分化率は向上した。農林67号については、さらに次世代(R2世代)を育成し培養特性を調査したところ、再分化率90-100%の系統を得ることができた(図2)。
  5. 再分化率を向上させた、農林67号R2系統由来の未熟胚約3,000個にパーティクルガンで遺伝子導入(35S+nptII)したところ、30個体について、PCRで導入遺伝子の存在を確認できた(図3)。現在、植物体は閉鎖系温室内で育成中である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. PCRで導入遺伝子の存在を確認できた個体については今後サザン分析を行う。
  2. 難培養性作物の一つとして知られるコムギについて、培養系を改良し、実用品種の中から培養特性が良好な系統を選抜したことで、今後我が国におけるコムギのバイテク関連研究の推進に寄与するものと期待される。
カテゴリ 受粉 品種

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