タイトル |
イオンビームによるキクの花色変異6品種の育成 |
担当機関 |
日本原子力研究所 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
〔田中淳
永冨成紀
山口博康
鹿園直哉
出花幸之介(生物研)
森下敏和
渡辺宏(原研高崎研究所)〕
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発行年度 |
2002 |
要約 |
キクの培養外植片にイオンビームを照射し、再分化個体から突然変異体を選抜して、花の色が変異した6品種を育成した。イオンビーム照射は幅広い種類の突然変異体が誘発でき、今後多様な作物に応用できる。
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キーワード |
イオンビーム、キク、花色、突然変異
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背景・ねらい |
イオンビームは細胞に局所的にエネルギーを与え、生物効果が高い特徴があり、新たな突然変異誘発原として期待される。そこでキク品種「大平」の花弁や葉片を組織培養してイオンビームを照射し、変異誘発効果をガンマ線と比較して解析した。同時に、新しい花色を持ち原品種と栽培特性が同じ品種群を育成した。
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成果の内容・特徴 |
- キク品種「大平」(花色;桃色)の花弁や葉片をカルス誘導培地に置床し、日本原研高崎研究所のAVFサイクロトロンで炭素イオンとネオンイオンを照射した。さらに照射材料から誘導したカルスを再分化培地に移植し、得られた再分化個体を圃場に展開して花色変異体を選抜した。
- 複色や条斑など新しいタイプの突然変異が、イオンビーム照射により比較的高頻度で得られた。
- これらの系統は栽培特性が原品種とほとんど同等で、花の色や形態のみが異なる(表1,図1)。よって、原品種と同一の栽培法のもとで、花の色や形がバラエティーに富んだ品種群として花き農業において利用できる。
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成果の活用面・留意点 |
- これらの系統は全国で栽培可能である。特に原品種「大平」と同じく沖縄県と南西諸島が栽培適地であり、冬季温暖な気候のもとで冬~春期に出荷する切り花栽培に適する。「大平」の栽培管理に準ずるが、窒素過多と多湿にならないように留意する。
- イオンビームは、突然変異育種の幅を広げることができる新たな変異原として、キクのみならず広く適用することができる。種々の放射線照射と培養技術を適切に組み合わせることにより、従来の幅を超えた突然変異の誘発が可能である。また突然変異体の再培養によりさらに変異を拡大することができ、新たな突然変異品種を育成できる。
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カテゴリ |
育種
きく
栽培技術
出荷調整
品種
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