タイトル |
侵入昆虫ブタクサハムシの寄主植物範囲を規定する化学因子 |
担当機関 |
(独)農業生物資源研究所 |
研究期間 |
2000~2005 |
研究担当者 |
今野浩太郎
田村泰盛
服部誠
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発行年度 |
2003 |
要約 |
ブタクサハムシの摂食行動は寄主植物であるブタクサに含まれる2種のトリテルペノイドと2種のカフェー酸誘導体の混合物により誘起される。本種の摂食反応は、これらの摂食刺激物質と摂食を阻害する因子により決定されると考えられる。
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キーワード |
キク科植物、寄主選択、摂食刺激物質、ブタクサ花粉症、ブタクサハムシ
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背景・ねらい |
ブタクサハムシOphraella communa(コウチュウ目ハムシ科)は、1996年に日本ではじめて発見された北アメリカ原産の帰化昆虫である。初発見以降、本種はブタクサAmbrosia artemisiifoliaを主な寄主植物として急速に分布域を拡大し、各地でブタクサを枯死させる程に増加した。当初、本種は花粉症の原因となるブタクサを防除する生物素材として注目されていたが、ヒマワリの食害が報告され、農作物に及ぼす影響が危惧されるようになった。そこで、本研究ではブタクサハムシ成虫の食草範囲を規定する因子を明らかにすることを目的とした。
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成果の内容・特徴 |
- ブタクサのメタノール抽出物をろ紙に添加し、ブタクサハムシ成虫に与えたところ、ろ紙を摂食する行動が観察され、摂食刺激物質の存在が示唆された。
- ブタクサのメタノール抽出物から摂食刺激物質を精製し、4成分を同定した(図1)。成虫はこれらのトリテルペノイド(α-amyrin acetateもしくはβ-amyrin acetate)とカフェー酸誘導体(5-caffeoylquinic acidもしくは3,5-dicaffeoylquinic acid)の混合物に摂食行動を示した。
- 17種のキク科植物で摂食刺激物質の有無を調べたところ、ブタクサハムシに摂食されない幾つかのキク科植物中にも摂食刺激物質が存在していた(表1)。これらの植物抽出物を、ブタクサ抽出物に添加すると摂食が抑えられた(データ省略)。このように、摂食刺激物質が存在しながら加害を受けない植物には、摂食行動を阻害する因子が含まれている可能性が示唆された。
- 摂食刺激物質を含有していたシュンギク、レタス、ゴボウ、ヒマワリを用い、寄主適合性を検定した。成虫はこれらの植物を食害したが、シュンギク、レタス、ゴボウを与えた際には産卵が見られなかった。また、幼虫はシュンギク、レタス、ゴボウを与えた場合は短期間で死亡し、蛹化には至らなかった。ヒマワリは食害、産卵とも観察された。
図1
表1
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成果の活用面・留意点 |
- ブタクサハムシの摂食刺激物質であるα-およびβ-amyrin acetate等の含有量を指標にヒマワリ品種を育成することによって、ブタクサハムシに食害されないヒマワリ品種の育成が可能となる。
- 栽培植物であるレタス、シュンギク、ゴボウでは、成虫の食害を受ける可能性はあるが、寄主植物としての適合性は低いと考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
きく
ごぼう
しゅんぎく
ひまわり
品種
防除
レタス
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