イネ液胞膜型Na+/H+アンチポーターの高発現によるイネの耐塩性の改善

タイトル イネ液胞膜型Na+/H+アンチポーターの高発現によるイネの耐塩性の改善
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2002~2005
研究担当者 福田篤徳
田中喜之
田切明美(重点支援)
田中喜之
発行年度 2003
要約 イネ液胞膜型Na+/H+アンチポーター遺伝子(OsNHX1)を高発現させることによって、形質転換イネカルスおよび植物体が野生型より高度な耐塩性を獲得した。これは、大量に存在すると有害なNa+を液胞内に隔離する活性を高めることが、植物の耐塩性を改善する有効な手段であることを示している。
キーワード イネ、液胞、Na+/H+アンチポーター、耐塩性
背景・ねらい 塩分が土壌中に集積し、作物の生育に多大な影響を与える塩害は、砂漠化の進行とともに世界的な問題になっている。イネにおいても、世界的にその生産性や栽培面積に塩害が多大な影響を与えている。Na+/H+アンチポーターは、生体膜を介してNa+とH+の対向輸送を行う輸送体である。植物では、塩ストレス時に細胞内に流入したNa+の排出や液胞への隔離に関与すると考えられ、特に液胞膜型は、細胞容積の大部分を占める液胞内にNa+を能動的に輸送するため塩ストレスの回避に重要な働きをすると考えられている。本研究では、イネにもともと存在する液胞膜型Na+/H+アンチポーターの発現量を増大させることが、イネの耐塩性にどのような影響を与えるかを解析した。
成果の内容・特徴
  1. イネの細胞内で発現させたOsNHX1タンパク質と蛍光タンパク質GFPとの融合タンパク質の蛍光像を、液胞膜局在試薬FM4-64による蛍光像と比較したところ、2つの蛍光像が一致し(図1)、OsNHX1が液胞膜に局在することが示された。また、OsNHX1の液胞膜局在は、抗OsNHX1抗体を用いたウェスタン解析によっても確認した。
  2. 液胞膜画分におけるOsNHX1の高発現を確認した形質転換イネカルスについて(図2A)、塩ストレス下で14日間懸濁培養した。その結果、OsNHX1の発現量の増加とともに野生型(ベクターのみ導入)より形質転換イネカルスの耐塩性が改善されることを確認した(図2BC)。また、イネカルスにおけるNa+及びK+量を測定した結果、形質転換イネカルスのNa+量は野生型より耐塩性の改善とともに増大することを確認した(図2DE)。このことは、細胞質内に流入したNa+を液胞内へ取り込む活性がOsNHX1の高発現により高まった結果、イネカルスの耐塩性が改善されたことを示している。
  3. OsNHX1の高発現を確認した形質転換イネの植物体について、18日間通常状態で育成した後、塩ストレス下で7週間育成した。その結果、形質転換イネの植物体においても、野生型(ベクターのみ導入)より耐塩性が改善されることを確認した(図3)。このことは、液胞膜型Na+/H+アンチポーターの発現量の増大が、植物体でも耐塩性の改善に有効なことを示している。
成果の活用面・留意点
  1. OsNHX1遺伝子を高発現させることによりイネの耐塩性を高められる。また、この手法は他の植物にも適用可能と思われる。
  2. 液胞膜型Na+/H+アンチポーターの高発現により、植物の耐塩性を増大させるとともに、液胞内、そして植物体内にNa+を蓄積させることが可能であるため、さらなる検討が必要ではあるが、土壌中に蓄積したNa+を取り除くなどの環境保全型事業への応用が期待できる。
図表1 226385-1.jpg
図表2 226385-2.jpg
図表3 226385-3.jpg
カテゴリ 輸送

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