花粉照射法を用いた放射線により誘導される突然変異の解析

タイトル 花粉照射法を用いた放射線により誘導される突然変異の解析
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2002~2008
研究担当者 (草場信
西村実)
発行年度 2004
要約 ガンマ線および重イオンビームをシロイヌナズナの花粉に照射し、その花粉をマーカーとなる劣性突然変異を持つ母本系統に交配すること(花粉照射法)により突然変異体を単離した。この方法により通常では検出できない非伝達性の突然変異が解析できる。ガンマ線およびイオンビーム照射により生じる突然変異の多くは非伝達性の巨大欠失であることが判明した。
キーワード ガンマ線、重イオンビーム、花粉照射、非伝達性突然変異
背景・ねらい 植物における突然変異の解析は多くの場合、後代に伝達する突然変異のみを扱っている。本課題ではガンマ線および重イオンビームの引き起こす突然変異を後代には伝達されない突然変異も含めて解析することを目的とし、モデル植物であるシロイヌナズナを用いた花粉照射法による解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. 花粉に放射線を照射し(M1世代)、これをマーカーとなる劣性の突然変異遺伝子を持つ系統に交配すると、花粉でこのマーカー遺伝子に突然変異が引き起こされればその交配次世代(M2世代)を突然変異体として検出できる(図1、花粉照射法)。この方法を用いると母本側のゲノムが無傷のまま残っているため、通常では検出できない非伝達性の突然変異も検出することができる。さらに花粉親と母本に異なるエコタイプを用いることで、分子マーカーにより花粉側で起きた突然変異箇所を同定することが出来る。
  2. マーカー突然変異として本葉の毛が無くなる突然変異gl1を、花粉側エコタイプにCol、母本側エコタイプにはLerを用いて解析を行った。その結果、ガンマ線においても炭素イオンにおいても点突然変異も少数検出されたものの、非常に大きな欠失が高頻度で生じることが判明した(表1)。
  3. これらの巨大欠失変異体には、半不稔となり後代へ全く伝達しないもの、ホモ型では後代に伝達しないもの、および完全に正常な伝達をするものが見られた。これらを総合すると、ゲノム上の特定の位置の遺伝子が欠失するかどうかでその巨大欠失の伝達様式が決定されると推測された(図2)。

図1

表1

図2
成果の活用面・留意点
  1. これまでの種子繁殖性作物の突然変異育種では本来引き起こされている多くの突然変異は利用されてこなかった可能性があること、一方、栄養繁殖性作物の突然変異育種では巨大欠失による突然変異さえも利用されてきた可能性があることを示唆している。
  2. 放射線が点様の突然変異とともに巨大欠失も引き起こすことを遺伝子単離や逆遺伝学的な突然変異体単離に活かしていくことが可能である。
図表1 226410-1.jpg
図表2 226410-2.jpg
図表3 226410-3.jpg
カテゴリ 育種 繁殖性改善

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